<週末ベースボール:球児メシ(上)>

「球児メシ」とは、中学野球選手の成長期に必要な栄養素をとることで、競技に必要な瞬発力や持久力、集中力をアップさせることを目指した食事。最新科学に基づいた必須ポイントを、東京出身の新出(しんで)真理と、大阪出身の大埜礼華(おおの・ひろか)両管理栄養士が解説します。今回は「シーズンオフの食事の基本」です。

「これで体が大きくなる」という魔法の食品はない

新出 先日の中学硬式野球部の栄養セミナーではどんな話をしたの?

大埜 中学野球選手の体づくりと食事について話したよ。

新出 筋肉も含めて「体を大きくしたい」という相談はよく受けるわね。

大埜 「持久力」には炭水化物、「体づくり」や「瞬発力」にはタンパク質、「コンディショニング」には、ビタミンやミネラルが必要やから、これらの栄養素がバランス良くそろった食事が一番。

新出 これで体が大きくなる! という魔法の食品はないものね。「バランス」と言っても具体的にピンとこないわよね。

大埜 紹介した献立のように、ご飯やパンなどの主食を中心に、おかずは肉と魚、卵、大豆製品が主材料の主菜1皿、野菜や海藻、キノコ、イモ類が主材料の副菜2皿をそろえるのがバランスの基本ポイント。「球児メシ」なら、果物と牛乳・乳製品も毎食ほしいな。

新出 タンパク質は肉だけではなく、魚からもとるのがバランス上級者ね。特にサケは、骨や筋肉づくりに役立つビタミンDも多いからお勧めの食材ね。

大埜 ビタミンDは食事摂取基準の最新版でも注目の栄養素。サケ1切れで約3日分も取れてしまう!

新出 オフ期でエネルギーを使う時期は、特にビタミンB1やB2も欠かせないわね。ご飯は白米と玄米をまぜて炊くとB1の摂取量が大幅に上がるわ。

大埜 学校給食での牛乳はビタミンB2補給のためにも残さず飲みましょう。

新出 油のとりすぎが気になる家族も、マヨネーズを使わないポテトサラダはうれしい1品ね。

大埜 みそ汁は野菜が具だくさんだとおいしいね。ゴボウはいいだしが出るなあ。

新出 冷凍のササガキゴボウだと手軽に使えて便利よ。

大埜 毎日のことやから冷凍や缶詰なども上手に利用できるとええな。

新出 成長期の球児は、体づくりと集中力、スタミナアップのために、特に朝食も大切にしてほしいわね。

<ワンポイントアドバイス>
「主食主菜と副菜2皿」が基本。乳製品と果物も忘れずに。「球児メシ」で食を制して試合を制す。

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