<Bリーガーの食卓・竹田謙>

 男子プロバスケットボールBリーグ、横浜ビー・コルセアーズは、チーム練習が午後1時前後からのスタートが多いため、練習会場で昼食をとる選手が多い。コンビニで購入する選手もいるが、チーム最年長38歳の竹田謙は、妻手作りのお弁当が定番だ。

 「コンビニのものは添加物がいろいろ入っている気がして、それが嫌なので」と話す竹田のお弁当は、料理研究家の土井善晴さんが提唱する一汁一菜。おにぎりと具だくさんの汁物が基本だ。栄養補助食品のプロテインやサプリメントは一切とらず、自宅でもごはん、おかず、汁物をしっかりと食べて体作りの基礎としている。

この日の竹田のお弁当。おにぎり3つ(サケ、昆布、梅)と豚汁(ジャガイモ、豚肉、ニンジンなど)、ミカン。汁物は保温ジャーで持ち運ぶ
この日の竹田のお弁当。おにぎり3つ(サケ、昆布、梅)と豚汁(ジャガイモ、豚肉、ニンジンなど)、ミカン。汁物は保温ジャーで持ち運ぶ

 コンディション作りに「秘訣はない」と言うが、体重の増減はバロメーターとして気を配っている。「体重が減りやすいので、78キロになったら黄色信号。ごはんを多くしたり、おにぎりやパンなどの間食を増やして、79キロから80キロくらいを目指しています」。

 ベスト体重は2年前より2キロ減。188センチ、80キロの体格はバスケット選手としてはいささかスレンダーだが、「カズさん(三浦知良)やイチローさん、バスケットだと折茂さん(折茂武彦=レバンガ北海道)と、長く活躍しているアスリートは細身。年をとったら少し体重を落とすのが正解なのかなと考えているところです」。ウエートトレーニングも筋肉を増やすことより、維持することに重きを置いている。

横浜ビー・コルセアーズの最年長38歳の竹田謙(右)(C)B-CORSAIRS/T.Osawa
横浜ビー・コルセアーズの最年長38歳の竹田謙(右)(C)B-CORSAIRS/T.Osawa

 2014年、リンク栃木ブレックス(当時)で現役引退したが、2年のブランクを経て復帰。開幕前の記者会見では「色んな人に『この年で本当にやるのか』と言われたし、自分自身半ば勢いで戻ってきたので不安もあった」と話したが、ふたを開けてみれば、流れを変える貴重な控え選手として大活躍中。1月29日の滋賀レイクスターズ戦では効果的な3ポイントシュートを次々と沈め、ルーズボールで看板や観客席に激突するという若手顔負けのアグレッシブなプレーでMVPに選出された。

 出場時間は1試合トータルで16分前後。「(これくらいの時間が体力の)限界ですね」と言いつつ、「たとえ何分であろうと、出ている時間は全力でという気持ちでやっている」と続けた。キャリア、食事、体作り。さまざまなことに関して試行錯誤し、周りや慣例に惑わされずに挑戦し続ける姿勢こそが、彼の真骨頂なのかもしれない。【青木美帆】

管理栄養士・真鍋千絵美のコメント

 お弁当に温かい汁物があると、ほっとしますね。消化もよく、練習前の昼食には最適です。具だくさんにすることで、外食では不足しがちな野菜類が十分とれます。さらに、おにぎりの具からタンパク質やミネラルを、デザートのフルーツでビタミンCを補給できており、とてもバランスのよい組み合わせといえるでしょう。

竹田謙(たけだ・けん)

 1978年10月5日、神奈川県生まれ。西高津中-国学院久我山高-青学大-東京海上-新潟-福岡-パナソニック-栃木-横浜。ポジションはシューティングガード。14年の引退後は女子Wリーグ・デンソーアイリスのアシスタントコーチを務めた。188センチ、80キロ。