ジュニアアスリートの栄養相談の事前調査にはよく、「栄養バランスに気を付けるようにしています」と書いてあります。しかし、今朝の朝食の内容を聞くと、「パンと飲み物」「ご飯とみそ汁」といった答えが返ってくることがあります。「栄養バランスに気を付けている」のは3食ともではなく、「夕食」に限定して回答している人が多いということです。

食育に関する意識調査報告書から

3食とも栄養バランスを意識している若い世代は少ないようです。食育に関する意識調査報告書で、「主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上あるのは、週に何日あるか」という質問に対し、若い世代(20~39歳)の回答は「ほぼ毎日」が28.3%、「週に4~5日」が18.7%、「週に2~3日」が30.0%、「ほとんどない」が22.8%でした。

毎日頑張るジュニアアスリートが朝、昼、夕の3回の食事で、主食、主菜、副菜だけでなく、牛乳・乳製品、果物もそろった「アスリートの食事の基本」を揃えるのは、なかなか大変だということですね。

時間と食費に余裕があることも

では、「アスリートの食事の基本」を揃えるためには、何が必要なのでしょうか。

この調査報告書で、「主食・主菜・副菜を3つそろえて食べる回数を増やすために必要なこと」を聞いたところ、「手間がかからないこと」が59.9%と最も高く、次いで「時間があること」(52.1%)、「食費に余裕があること」(49.8%)の順となっていました。性別でみると、「手間がかからないこと」「時間があること」を挙げた人の割合は女性で高く、「家に用意されていること」「外食やコンビニ等で手軽に取ることができる環境があること」を挙げた人の割合は男性で高いそうです。

手間がかからず、手軽にとれる、ということが大きなポイントなのでしょうね。

先日、1人暮らしを始めた選手に自炊について聞いたところ、「1週間頑張ってみたけど、やっぱり大変だったし、自分が作ったものはおいしくない」という返事でした。1人暮らしの選手でも手間なくおいしく食べられるような献立を提案していくことも大切だと痛感しています。

ということで、今回は市販の焼肉のたれを使った「手間なしカツオのユッケ丼」を紹介します。たれを混ぜ合わせるのが少し面倒かもしれませんが、カツオの生臭さもとれ、おいしく食べられます。10分で完成する時短レシピです。

大きめのボウルに調味料を入れてよく混ぜ合わせ、その中にカツオの刺身を入れてあえます。カツオの漁獲量の全国1位は静岡県で、缶詰やカツオ節など加工品を製造する工場がたくさんあります。

また、カツオはアスリートに大切で、不足しがちな鉄分を豊富に含む食材です。鉄が不足をすると、持久力が低下したり、疲れやすかったりということが考えられ、パフォーマンスの低下に直結します。おいしそうなカツオを見つけたらぜひ、食べて欲しいものです。

手間を減らすために、野菜は、そのまま食べられる冷凍のきざみオクラを使用していますが、もう少し手間をかけても良いという人は、アボカドやトマト、長イモなどをプラスしてください。野菜をたっぷりにして1食分の野菜を1皿でとれるようにしてみましょう。

なお、大切な試合の前日や当日は、生魚を食べることは控えてください。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵