私たちの体内には、大きく分けて2種類の脂肪細胞があります。1つはエネルギーの貯蔵庫として働く「白色脂肪細胞」で、もう1つはエネルギーを消費する茶色い「褐色脂肪細胞」です。

白色脂肪細胞の多くは皮下脂肪に存在し、その約80%が脂質です。細胞の数としては全細胞のわずか0.2%でしかありませんが、人の体脂肪率はおおむね15~20%です。つまり、脂肪細胞の大きさは他の細胞に比べて大きくなる能力があるということです。

一方の褐色脂肪細胞は、鎖骨付近や胸の周りにあり、エネルギー消費量を高める(エネルギーを使う)ことで体脂肪を減らす働きがあります。

トレーニングをすると、白色脂肪細胞を分解してエネルギー源として使いますが、同時に褐色脂肪細胞の重量も減るため、かつては「肥満になりやすい体質になってしまうのでは」と懸念されたことがありました。しかし、最近の見解は変わってきています。

動物実験ではありますが、トレーニングをすることで皮下脂肪から褐色脂肪細胞に近い性質をもつ「ベージュ脂肪細胞」が作られることを促している、という報告もされるようになりました。これらのことから、トレーニングによって褐色脂肪細胞が減少したとしても、ベージュ脂肪細胞が増えることで、むしろ痩せやすい体へと適応しているのではないか、と考えられています。

体を絞りたい、減量に取り組みたいときは、極端にエネルギー摂取量を減らすような取り組みではなく、食事とトレーニングを組み合わせた取り組みをすることが効果的であり、大切です。

今回は、減量中の運動前後補食におすすめの「チーズスティック」を紹介します。持ち運びに便利です。

参考文献:寺田新.「スポーツ栄養学 科学の基礎から『なぜ?』にこたえる」東京大学出版会.2017

管理栄養士・田澤梓