私はサポートする選手に「疲れた時は豚肉を探せ!」と合言葉のようにささやきます。豚肉には、スポーツ選手に必要な疲労回復のための栄養素、ビタミンB1が含まれているためです。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるのを手伝ってくれる働きがあります。

具のない麺類やご飯、おにぎりだけなど単品のみの食事や、インスタント食品ばかり食べて食事バランスが崩れると、ビタミンB1が不足します。そうすると食欲が低下し、疲れやすく、だるいなどの症状が出てきます。「なんとなくだるいな」と感じたら、食事の内容を見直してみましょう。

赤身に豊富なビタミンB1

さて、この豚肉を詳しくみていきましょう。

豚肉はもちろん、タンパク質が豊富で、主に赤身肉にビタミンB1が多く含まれます。ももに0.9mg、ヒレに1.32mg。ちなみに鶏もも肉には0.1mgしかありません。

豚肉の部位(硬さ、脂肪、おすすめ料理)
肩    ●● 、○○○ 煮込み
肩ロース ●● 、○○  ショウガ焼き、酢豚
ロース    、○○  ポークソテー
ヒレ   ●●●   カツ
ばら     、○○○ 角煮
もも   ●●●   豚汁
※硬く、脂肪が多い方がが多い

部位によって適した調理法が違います。硬さや脂肪の割合を考慮して、肉を選んでいきましょう。

アリシンと一緒で体内吸収高める

ビタミンB1を効率良く摂取するには、焼く、炒める、揚げるといった調理法。さらに体内吸収率を高めるには、アリシンという成分を一緒にとるのがおすすめです。

アリシンは香りの強い野菜であるニンニクやニラ、タマネギなどに多く含まれています。細胞壁を傷つけることで発生するため、細かく刻むほど増えるので、すりおろす、せん切り、みじん切りなどにするといいでしょう。加熱に弱いものの、油と一緒に調理することで分解されにくくなります。水溶性ビタミンなので、長く水につけることは避けましょう。

一方で、肉に偏った食生活になると、腸内環境が悪玉菌優勢に傾き、便秘や肥満の原因にもなります。善玉菌に元気に働いてもらうため、食物繊維が豊富な野菜も多めに食べるなど、常に基本の食事を意識していきましょう。

今回は「疲労回復ももマーマレード」を紹介します。暑い夏、ビタミンB1が多い豚もも肉がさっぱりと、食べやすくなります。

管理栄養士・山口美佐