育ちざかりの選手やその保護者から「体を大きくしたい」といった話題になると、必ず「カルシウムを摂ればいいのでしょうか」と聞かれます。そこで今回は、カルシウムについてお話しします

カルシウムは人体に最も多く存在するミネラルです。99%が骨や歯に、残りの1%は血液や筋肉にあります。

働きとしては、骨や歯の形成、筋肉の収縮、神経の興奮抑制など。少ないと骨粗しょう症になるリスクが高まり、ケガの原因にもなり、イライラして集中力の低下を招きます。牛乳や乳製品はカルシウムを含む食品の中でも体内に吸収されやすいものです。

ビタミンD、Cも一緒に

カルシウムの吸収を助ける栄養素にビタミンDとビタミンC、また、酸味成分のクエン酸(※)にもミネラルの吸収を高める効果があります。ビタミンDはキクラゲ、シラス干し、ニシン、タタミイワシなどに、ビタミンCはレモン、イチゴ、柿などに、クエン酸は梅干しに豊富に含まれています。逆に、吸収を阻害するのはリンやシュウ酸などです。

もともとカルシウムは体内に吸収されにくいもので、それだけ摂っていても体は大きくなるわけではありません。食品にはたくさんの栄養素が含まれていて、それらが相互に作用し、体内に吸収されていきます。まずは、主食、主菜、副菜、汁物、乳製品、果物がそろったバランスのよい食事をしっかり摂りましょう。

今回紹介するのは、カルシウムの吸収力を上げるデザート「アスリートミルクゼリー3種」を紹介します。

ベースはカルシウムの多い低脂肪牛乳。コラーゲンたっぷりのゼラチンを利用してゼリーを作り、関節を強化、ケガを予防します。

レモン、梅、イチゴの3種類ともにビタミンCやクエン酸を含んでいます。

<ノーストレスレモンソース>
 ハチミツを使うので甘みは強まりますが、カロリーが低く、体重管理をしなければならない選手には心強い味方です。牛乳のトリプトファン、ハチミツのセロトニンはともにストレス緩和効果があり、組み合わせて飲むことでさらに効果が上がります。

<腸を元気に梅ソース>
 梅には整腸作用があります。便秘の方にはおすすめです。

<スタミナ持続イチゴソース>
 牛乳に糖分を加えて濃縮させた練乳を使うので、量は調整してください。

※クエン酸のカルシウム吸収促進(キレート効果)については、日本農芸化学会2017年度大会(17年3月17日~20日)でラットの実験で実証したとして、その作用とメカニズムが発表されました。

管理栄養士・山口美佐