「リンゴが赤くなると、医者が青くなる」「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」。こんな言葉を聞いたことはありませんか? リンゴに秘められた力を物語る昔からの言い伝えです。

体調悪いときはすり下ろしリンゴ

 風邪で高熱が出たとき、体調が悪いとき、すり下ろしたリンゴを食べた経験のある方もいると思います。これはリンゴで水分補給すること、リンゴに含まれるクエン酸に疲労回復効果があること、またビタミンCには喉の腫れなどの炎症を軽減する効果が期待できることなどからです。

 また最近は、腸内環境を整えると免疫力が上がり、風邪などの感染症から体を守ることができると言われています。腸内環境を整えるには、水溶性の食物繊維を日常的に摂るのが効果的ですが、リンゴに含まれるペクチンは、まさにその働きに適した成分です。

 ペクチンは皮に多く含まれているので、むかずに食べるのがおすすめ。できるだけ農薬を使っていないものを選び、よく洗って食べるのがベストです。

 時々、皮の部分が少し油っぽくべとついているものが売られていますが、これはワックスなどを塗っているのではなく、リンゴ自身が自分の身を守るため、皮を強化するために生成しているものですので、食べても問題はありません。

鍋でじっくり煮込んだ「豚肉とリンゴの煮込み」
鍋でじっくり煮込んだ「豚肉とリンゴの煮込み」

 今回は、リンゴをたっぷり使った「豚肉とリンゴの煮込み」を紹介します。

イタリア北部の冬の煮込み料理

 イタリア北部にリンゴの名産地があります。この地方ではリンゴを使ったケーキが有名で、料理にもリンゴを使います。中でも豚肉と一緒に煮込むレシピが人気です。

冬のイタリア北部の料理「豚肉とリンゴの煮込み」
冬のイタリア北部の料理「豚肉とリンゴの煮込み」

 アスリート向けには、低脂肪で高タンパクなもも肉を使いましょう。もも肉は硬くなりがちなので、塊のまま煮込んでからカットするのがいいでしょう。

 コトコト煮詰めたリンゴの自然な甘みと酸味が食欲を増します。お好みでマスタードなどを添えても、よりおいしくなります。腸内環境を整えて善玉菌を増やし、免疫力を上げて風邪やインフルエンザから体を守りましょう。

【料理家・山内千夏】