12月の初めから1月初めにかけての1カ月、イタリアは宗教的な祝日が重なる期間で、大いに盛り上がります。カトリックの国では、キリストの生誕を祝う「クリスマス」は特別。日本ではクリスマス当日よりも、前夜のクリスマスイブの方が賑やかですが、イタリアでは25日が一番大切な日。日本のように外食をするというよりは、家で過ごすというのが伝統です。

 クリスマスに食べるものは地方によってさまざまですが、イブの日は肉食をしないと決まっており、魚や野菜を使った料理を食べながら、深夜のミサを待ちます。25日はお昼に一番豪華な食卓となり、テーブルの上には御馳走がいっぱい。前菜にパスタ、お肉料理、たくさんのドルチェ(デザートやお菓子)をいただきます。翌26日は、サン・ステファノの日という祝日で、24日からの3日間をゆっくりと家族と過ごします。

 最近は大都市部の若者を中心に、この休暇中に旅行する人も多く、伝統が崩れつつありますが、郊外ではまだまだ家族と過ごしている人が大半です。反対に、大みそ日や元日は友人たちと出かけてワイワイ過ごすことが多く、日本のクリスマス、正月とは入れ替わったような過ごし方です。

子供たちは2度プレゼント

 この宗教的なお祝いをする期間は、1月6日のエピファニア(公現祭)まで続きます。エピファニアとは、東方の三博士がキリストの誕生のお祝いに駆け付けた日。この時に三博士がキリストへの誕生祝いの贈り物を持ってきたということから、6日の朝に子供たちがお菓子をもらう習慣があります(昔は25日のクリスマスではなく、1月6日にプレゼントをもらっていたとか)。

 前日5日の夜にベファーナという魔女が、お菓子をたくさん入れた袋を背負って箒にまたがってやってくる、と言われており、子供たちはベッドに靴下をぶら下げて眠りにつきます。夜中に靴下の中に魔女がお菓子を入れていってくれるのを楽しみにして…。

 魔女は良い子にはお菓子を、悪い子には炭を入れていく、という伝説があり、今では炭にソックリな砂糖菓子まで作られています(イタリアの子供たちは、今はクリスマス、エピファニアと2回も贈り物をもらっているようです)。このエピファニアの日を迎えると、12月の初めに飾ったクリスマスの飾りつけを取りはずし、ようやくクリスマス期間は終了。イタリアにも平常が訪れます。  

北イタリアの郷土料理

バーニャ・カウダ
バーニャ・カウダ

 今回は、野菜がたっぷり食べられる「バーニャ・カウダ」を紹介します。北イタリアの郷土料理のバーニャ・カウダは、本来は冬の料理。農民たちが収穫を終えた冬の日に労働のねぎらいのために集まり、温かいソースを囲んで野菜を食べたことから始まった、と言われています。

 「バーニャ=ソース」「カウダ=温かい」という意味。ニンニクとアンチョビをすりつぶしてオリーブオイルを加えたソースを温めて、野菜に絡めていただきます。日本でも、野菜がたくさん食べられる、とレストランなどでも人気の料理ですが、家庭でも簡単に作れます。

 ニンニクの臭いが気になる場合は、牛乳で茹でると臭いがやわらぎます。何度か牛乳を取り換えて茹でると、さらに効果的です。

 オイルの油分が気になるかもしれませんが、オリーブオイルは抗酸化作用が高く、中性脂肪、LDLコレステロールを改善し、活性酸素の攻撃を阻止して動脈硬化を防ぐ、と健康効果が大いに期待できる油です。良質の油脂は、身体には必要なものです。質を見極め、正しい量を摂取していくことで、身体にも良い効果を与えてくれますので、野菜とともに摂取していきましょう。