春キャベツの季節になってきました。柔らかく、甘くて美味しいこの時期のキャベツは、アスリートにも大きな役割をもつ食材といえます。緊張やストレスによって、胃腸の調子が悪くなる選手もいるでしょう。キャベツはそんな胃腸の弱い人に、もってこいの食材なのです。

 キャベツには特有の成分「ビタミンU」が含まれます。ビタミンUはキャベツから発見された成分なので、「キャベジン」とも呼ばれています。体内でも合成される物質(外からとらなくても合成される)のため「ビタミン様物質」として扱われ、体内ではビタミンと似た働きをします。

 ビタミンUは胃の働きや粘膜を修復し、正常に保つ働きがあります。それらの働きの際にタンパク質の合成を活発にし、胃の粘膜の新陳代謝を上げるといわれています。

 キャベツにはそのほか、食物繊維、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどの栄養素が含まれていますが、中でもビタミンCは、ストレスで消耗されるため、激しい運動をするとたくさんの量が必要になります。ビタミンCの働きとしては、体内に入ってきた細菌やウイルスなどを攻撃する白血球の働きを助け、ビタミンC自体も細菌やウイルスが体内に入ることを防ぎます。疲れている時、大きなストレスがかかる時は、免疫力を高めるために抗酸化物質であるビタミンCを多く摂りましょう。季節の変わり目は体調を崩しやすいため、しっかり補給することが重要です。

 ただし、ビタミンUもビタミンCも加熱すると水に溶け出してしまうので、キャベツの栄養を効率良くとるには、食べ方に工夫が必要です。加熱する場合は、煮汁ごととれるような調理法をオススメします。

 例えば、
・スープに入れる
・ロールキャベツは煮汁にとろみをつけて汁ごといただく
・水分を吸う食材を一緒に入れて調理する(おふ、高野豆腐、とろろ昆布など)

 もちろん加熱せず、生のままとってもいいですが、量をとりたい場合は、カサを減らすような調理の工夫をするといいですね。その点、春キャベツは柔らかくて生のままでもたくさん食べられます。

春キャベツとじゃこの手揉みサラダ
春キャベツとじゃこの手揉みサラダ

 注意したいのは、キャベツだけではアスリートが必要な栄養を十分にはとれないということ。そこで今回は「春キャベツとじゃこの手もみサラダ」を紹介します。

 ここで使っているのは、何にでもかけてほしい乾物セット(海苔、ゴマ、かつお節)+ちりめんじゃこ。キャベツに不足しがちな鉄、マグネシウムなどのミネラルやビタミンB12の強化、またタンパク質をプラスして、キャベツに多く含まれているカルシウムや葉酸をさらに強化します。野菜料理、特にキャベツなどの淡色野菜だけでは栄養価がそれほど高くはないため、量を多めにとる工夫をすることと、このような食材をプラスして栄養価アップをはかります。

 塩もみでカサを減らし、たくさん量を摂れるレシピです。生のままなので、ビタミンUやビタミンCも効率よく摂れますし、よく噛んで食べることで、さらに胃腸の調子を良くします。この時期、ぜひ食卓の栄養価アップのために、加えてみてください。