これまで(※関連コラム)にもお伝えしてきたように、試合前の食事のテーマは「エネルギー補給」です。試合の3日前くらいから、炭水化物(糖質)のエネルギー比率を上げるようにします。

ご飯、パン、麺類などの主食を増やすのが簡単な方法ですが、単純に量を増やすということではありません。食事の全体量が増えてしまうと摂取エネルギーが増え、体重増加につながってしまいます。

炭水化物のエネルギー比率を上げる分、脂質のエネルギー比率を下げ、トータルの食事量は同じにして摂取エネルギーが多くならないよう気をつけましょう。脂身の多い肉といった脂質の多い食品を使用しない、揚げ物など油を多く使う調理法を避けるなど工夫をしましょう。

イモ類などのおかずでも糖質補給

ただ、「主食の量を増やす」と言っても、ご飯などをたくさん食べられないこともあると思います。その場合、おかず(副菜)にジャガイモやサトイモなどのイモ類や、カボチャやニンジンなど炭水化物(糖質)を多く含む野菜を取り入れると、炭水化物(糖質)のエネルギー比率を上げることができます。

炭水化物(糖質)を体内で効率良くエネルギーに変換するには、ビタミンB1を含む食品と、ビタミンB1の吸収率を上げるアリシンを一緒にとるのがポイントです。ビタミンB1を多く含む代表的な食品は豚肉。アリシンは、ニンニク、タマネギ、長ネギ、ニラなどに多く含まれています。

試合前の食事として「炭水化物(糖質)+ビタミンB1+アリシン」を組み合わせ、選手に合わせた「オリジナルの勝負飯」を作っておくと、メンタル面でも安心して試合に臨めますね。

写真は、「試合前の豚肉ジャガ」です。肉ジャガがというと、牛肉を使用することも多いと思いますが、試合前にはビタミンB1を多く含む豚肉を使用した肉ジャガがオススメです。豚肉も脂質の少ないもも肉を使っています。

糖質を多く含むジャガイモはエネルギー源となり、消化も良いので試合前にぴったりな食材です。また、ジャガイモに含まれているビタミンCはでんぷんに包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴があります。

アリシンを含むタマネギも加え、試合前に摂りたい栄養素がそろった一品です。ご家庭オリジナルの勝負飯の参考にしてみてください。

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管理栄養士・石村智子