熱中症予防として体液の状態を良好に保つためには、失われた(失われる)水分量とミネラルを補給することが大切です。そのためには、喉が渇いてから飲むのではなく、適切なタイミングに適切な飲料を選択することが重要です。

運動中は細かくちょこちょこ

 タイミングとしては、まず運動30分前くらいまでに、250~500mlの水分を摂っておくことがポイントです。水またはスポーツドリンクとし、糖分を多く含むジュースなどは、運動開始直後に血糖値が急激に下がる「インスリン・ショック」を引き起こす恐れがあるので、注意が必要です。

 運動中は、15~20分ごとに200mlくらいずつ、1時間で合計500~1000mlを目安に水分補給をします。

カフェイン含むお茶は適さない

 飲料の種類としては、スポーツドリンクが吸収されやすい浸透圧の設計になっています。人工芝など競技場の関係で水しか飲めない場合は、ハーフタイムなどに塩分も補給すると良いでしょう。緑茶、ウーロン茶などカフェインを含むお茶類は適していません。また飲料の温度は、5~15℃に冷えたものが良いでしょう。

 水分補給が適切に行われたかどうかをチェックするには、運動前後の体重を測定し、体重差がほとんどなければ適切に行われたと考えられます。体重差が1%くらいからパフォーマンスの低下が徐々に始まります。2%以上の場合、水分不足と判断します。

「納豆キムチ炒飯」はダブルの発酵食品で腸内環境を整えてくれる
「納豆キムチ炒飯」はダブルの発酵食品で腸内環境を整えてくれる

 写真は「納豆キムチ炒飯」です。納豆はタンパク質、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンEと多くの栄養素を含んでいます。納豆とともに発酵食品のキムチは、腸内環境を整える働きがあります。

 熱中症にならないためには、適切な水分補給のほかに日頃から栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠も大切です。丼ものや炒飯など、一品でも栄養密度の高いメニューで暑い夏を乗り切りましょう。

管理栄養士・石村智子