進学のタイミングで競技レベルが上がったり、生活環境が変わったりすることで、運動によるエネルギー消費量と食事からのエネルギー摂取量のバランスが崩れる女子アスリートがいます。これらのアンバランスが体調不良やケガを引き起こすことがあるため、日頃から注意しながらサポートをしています。

今回は、大学や実業団などで寮生活を始める前に気を付けたいポイントについて、紹介します。

寮食の献立確認、昼食の有無など

まず入寮前に、食事について細かく情報を収集しておきましょう。献立のエネルギー量はどれくらいか、昼食は提供されるのか、されない場合はどこで食べるのかなど。試食のチャンスがある場合は、積極的に参加しましょう。

それらの情報を元に、今の食事量より少ないときはどうするのか、あらかじめ対処法を想定しておくのです。保護者とも相談して、差し入れはどうするか、自分で購入するならどこで買うかなど、具体的な方法を確認しておきましょう。

量が足りない場合は自分で調整

実際、アスリート向けの寮で提供される食事であっても、自分にとって食事量が少ないケースも多々あります。運動量やコンディションに合わせて、自分で食事量を調整していくことが大切です。特に昼食などで自炊が必要な場合は、春休み中に自宅で調理の練習をして、自己管理ができるように準備をしておきましょう。

朝練前のエネルギーや水分補給は

また、朝食の環境も大きく変わるかもしれません。中学・高校時代は朝練があったとしても、自宅で朝食をとってから登校することがほとんどだったと思いますが、大学や実業団では朝練開始が5時台のチームもあり、起床後すぐに補食をとるのが難しいこともあります。

朝練前に何も口にしないことで「朝練後に食欲が沸き、朝食がおいしく食べることができる」という声も耳にします。しかし、朝練前にエネルギーだけではなく、水分すら補給しないということは、前夜からの脱水状態がさらに助長されてしまいます。加えてエネルギーが枯渇した状態で練習を行うと、筋肉もエネルギーとして使われてしまうのです。集中力を欠いたり、身体が動きにくいといったことが起こるかもしれません。

朝練で使われる分のエネルギーと水分は、その前に補給することが大切です。今回紹介する「イチゴとバナナのスムージー」は消化の早い果物でエネルギー補給と水分補給が同時にできる、忙しい朝にぴったりのメニューです。

忙しい朝に簡単に作れるメニュー

糖質が多いバナナとビタミンCが豊富なイチゴ、低脂肪乳をミキサーにかければ簡単に作れます。果物は冷凍したものでもOKです。

朝練の強度や練習時間によって、ロールパンをプラスするなどエネルギー補給を調整しましょう。低脂肪乳の代わりに豆乳や、シンプルに水を加えてもオリジナルのスムージーとして楽しめます。バナナやイチゴ以外の果物や野菜を入れてアレンジもできます。春休み中、ミキサーを準備して、バリエーションも増やしておきましょう。

朝練後は、しっかりと朝食をとるようにしてくださいね。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子