コンビニで買える補食について、運動後(練習後、試合後)、運動前(練習前、試合前)、朝食とシーン別に3パターン紹介します。それぞれのシーンで必要な栄養素や食品を知れば、手軽にコンビニで上手に調達することができますよ。

1、練習後・試合後の補食

運動で使ったエネルギーを補うこと、筋肉の修復をすることが最優先です。リカバリーの質を高めるために、炭水化物とタンパク質を運動後できるだけ早いタイミングで補給します。特に試合の頻度が多く、次の試合までのリカバリー時間が短い場合や1日に数回トレーニングをする場合、集中的に高強度のトレーニングをする期間にはケガを予防し、質の高い練習を継続していくために、補食の摂り方が大切になってきます。

運動終了後1~2時間以内にしっかりとした食事がとれる場合の補食では、体重1kgあたり1.0~1.2gの炭水化物をとることを優先してください。「体重60kgなら60g程度」と覚えておくと良いでしょう。

コンビニのおにぎり1個と100%のオレンジジュース200mlで炭水化物を約60gとることができます。それに加えて、破壊された筋肉の修復をサポートするため、体重1kgあたり0.25~0.3gのタンパク質をとることも心がけましょう。

ただ、運動後には食欲が落ちることや、食べ物や飲み物をたくさん準備できないこともあると思います。一度にたくさんの量をとることができない選手は、補食も分けてとるようにし、最低でも運動終了後1時間以内に、上記の炭水化物とタンパク質の量を総合的にとれるようにしてください。

例えば、試合が終わったらクールダウンをしながら素早くエネルギーゼリーや果物ジュースで炭水化物をとり、その後、着替えなど身支度が終わったら、おにぎり1個とタンパク質が強化されたドリンクをとる。こういったケースを考えると、練習場所(グラウンドやコートなど)に栄養補給ができるものを持ってきておくことも大切です。

帰宅後には栄養バランスのとれた食事をしっかりととりましょう。運動後の食欲や体の状態は人それぞれ異なります。試合やハードなトレーニングの後に、自分の体がどのように変化するかを理解し、運動後の食事までどれくらい時間が空くのかも考えて、自分に合った食べ物や飲み物、それらの量を優先順位をつけて選んでいきましょう。

運動1時間後までにとる補食の例(体重60kgの選手の場合)

コンビニで買える運動後の補食例
コンビニで買える運動後の補食例

・おにぎり1個、100%オレンジジュース1本、魚肉ソーセージ1本、かにかまバー
・エネルギーゼリー1個、チキンサンド
・肉まん1個、ベリー系のフルーツジュース1本、チーズかまぼこ1本
・カステラ1切れ、バナナ1本、タンパク質強化ドリンク1本

2、運動前・試合前の補食

運動前、試合前の補食は運動で使うエネルギーになる炭水化物を優先的にとります。また、胃腸の負担にならないように脂質の多い食品は避けるようにします。固形のものは運動の2~3時間前までには食べ終わり、運動開始の30分~1時間前にもゼリーやドリンクでエネルギーを追加で補給するようにしましょう。

必要な炭水化物の量は競技や運動時間、運動強度によって変わりますが、運動時間が長くなればなるほど、運動強度が高くなればなるほど、必要な炭水化物の量は増えます。

試合に向けてのエネルギー源は、試合当日の食事や補食だけでは十分に蓄えることができない可能性があります。前日の食事から炭水化物の量を増やしていくことで、無理なく効率的なエネルギー源の貯蔵ができます。ただし、試合前にとる最後の食事と、試合後にタンパク質がとれるタイミングが4時間以上空く場合は、筋肉の分解を防ぐために試合の2~3時間前にとる補食でも、タンパク質源を加えてください。

組み合わせ例

◎2~3時間前
・サケおにぎり+カステラ
・セブンイレブンフルブレミニ食パン(脂質が少ないパン)+バナナ
・焼きそばパン+エナジーバー(タンパク質入り)

コンビニで買える運動2~3時間前の補食例
コンビニで買える運動2~3時間前の補食例

◎30分~1時間前
・エネルギーゼリー
・スポーツドリンク

コンビニで買える運動30分前の補食例
コンビニで買える運動30分前の補食例

3、朝食

朝食は1日のスタートとなるスイッチとなり、体内のリズムを整えるために重要な役割を担っています。睡眠時は何も食べていない状態が続いていますが、朝食を食べることで血糖値、体温や血圧が上がり、頭や体を動かす準備ができます。そのためには、エネルギーとなる炭水化物を十分にとることが大切です。

さらに、体を作るタンパク質も朝食からしっかりとっておくことで筋肉作りにも良い影響を与えてくれます。時間がない朝は、肉や魚などのタンパク質源が昼食や夕食に比べて少なくなりがちですが、朝食でも十分な量をとり、昼食、夕食、補食も含めて均等に、コンスタントにタンパク質をとることで効率的に筋肉を増やすことができます。

食べ物を消化吸収・分解していくときには熱が産生され、エネルギー消費量が増えます。食事をして体が温かくなるのはこのためです。

タンパク質は炭水化物や脂質よりも産生される熱量が多くなり、その分エネルギー消費量も多くなるという特徴があります。そのため、タンパク質を朝食からしっかりととることは、朝の体温を上げやすくしてくれますし、減量に取り組む選手にとっては無理なく減量を成功させるポイントのひとつになります。

このほか、ビタミン、ミネラル、食物繊維もプラスできると、より質の高い朝食になります。もち麦入りのおにぎりや果物・野菜ジュースなどで食物繊維、乳製品や小魚でカルシウム、果物または果物・野菜ジュースで抗酸化ビタミン、干しサツマイモや甘栗でマグネシウムなどが補給できます。

コンビニで買える朝食例

コンビニで買える朝食例
コンビニで買える朝食例

・もち麦シラスおにぎり+だし巻卵+野菜ジュース+ギリシャヨーグルト
・チキンや卵入りのラップサンド+飲むヨーグルト+カットフルーツやドライフルーツ
・全粒粉サンドイッチ+タンパク質入りエネルギーゼリーまたはバー+甘栗

※参考
・Ranchordas M.K. et al., Practical nutritional recovery strategies for elite soccer players when limited time separates repeated matches. J Int Soc Sports Nutr, 12;14:35, 2017.
・Burke L.M. et al., Carbohydrates for training and competition. J Sports Sci, 29, 1, 117-27, 2011.
・Yasuda J. et al., Evenly distributed protein intake over 3 meals augments resistance exercise-induced muscle hypertrophy in healthy young men. J Nutr, 1;150(7):1845-1851, 2020.
・Mamerow M. M. et al., Dietary protein distribution positively influences 24-h muscle protein synthesis in healthy adults. J Nutr, 144(6):876-80, 2014.

管理栄養士・廣松千愛

<参考コラム>
コンビニでの1食分の選び方、摂取エネルギー別組み合わせ紹介
日刊スポーツ新入社員が挑戦!コンビニ食材でアスリート朝丼/動画
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