各界のプロフェッショナルの子ども時代や競技との出会いなどに迫る「プロに聞く」。今回は、女子ゴルフ界で注目される黄金世代のフロントランナー、勝みなみ(22=明治安田生命)。高校1年で出場したプロの試合で史上最年少優勝を達成し、渋野日向子、畑岡奈紗ら実力者ぞろいの世代のトップを走ってきた勝に聞いた。

練習ラウンドで調整する勝みなみ(2021年3月11日)

勝は、ゴルフ好きの祖父に連れられてゴルフ場に行ったのがゴルフとの出会いだった。5本セットのクラブを買ってもらい、週1回のレッスン通い。「最初は友達と集まって、ボールを転がすのが楽しかった。友達づくりに行っていました」。

レッスン仲間の7~8人の中には勝と同じようにプロになった男子の上村竜太、青木尉(ともに20)がいた。「あのかごに入れたら、みんなでアイス買いに行こう」とコーチに言われ、順番に打つ。そんな競い合いの中で上達し、楽しくなった。7本セットのクラブを買ってもらった小学3年で100を切り、その年の正月の書き初めは「90を切る」。しかし、すぐにそれも達成し「80を切る」と書き直した。

そのころ、テレビで見た上田桃子の活躍に「あの人みたいになりたい」とプロを意識したという。さらに強い影響を受けたのが宮里藍さんの存在だ。「宮里さんはずっと目標ですね。プロは技術だけでなく、人柄も大事だと思うようになったのは宮里さんがきっかけですね。インタビューを受ける姿がキラキラして見えた。この人みたいになりたいと思いました」。

13歳9カ月の最年少記録で九州女子アマを制した勝みなみ

小学5年で初めて地元テレビのインタビューを受けた勝は「私はプロになると決めているので」とはっきりと答えた。そのころから、プロになりたいではなく、プロになるという思いで練習や試合に臨んでいた。小学6年で小学校の全国大会で優勝。中学でも全国中学校選手権などで優勝。一躍注目される存在に。

「試合で優勝しても、そのときはうれしいけど、その先を先を見ていました」。常に結果よりもプロで活躍するための課題を見据えていた。高校1年の14年、15歳293日の史上最年少でプロツアーのKKT杯バンテリン・レディースで優勝。プロ宣言しプロになる道もあったが、日本女子アマ、日本ジュニア、代表に選ばれていた世界アマチュア選手権への挑戦を選び、プロ宣言を見送った。

14年、15歳293日で日本女子ツアー最年少優勝したKKT杯バンテリン・レディースには、祖父市来龍作さんと母久美さんも祝福に駆け付けた

「当時は自分がプロの試合で活躍する姿が想像できなかった」と着実に力をつける道を選んだ。中学での活躍を受け、全国のゴルフ強豪校から多くの誘いを受けたが地元の鹿児島高に進学。「ここまで自分でやってきたので、鹿児島を離れなくても大丈夫。ゴルフ以外の高校生活も楽しみたかった」。

週末の試合やナショナルチームの合宿と遠征。それ以外は、授業が終わっての練習と土日は、鹿児島高牧CCなどのコースで実戦練習。中学時代の仲間と100円ショップで簡単な楽器を買い、天文館公園でゲリラライブを行うなど、限られた時間の中で高校生活も楽しんだ。

2019年12月の日本女子プロゴルフ協会年間表彰式「LPGAアワード」 「黄金世代」の左から勝みなみ、小祝さくら、浅井咲希、原英莉花、渋野日向子、河本結

小学生時代のレッスンで基礎をつくり、中学以降はコーチをつけず、自分で考えて練習してきた。「私は考えるのが好き。何かで熱中して考えるのがゴルフだった。自分がどう変わっていくんだろうと。コーチをつけたいと思ったことは1度もありません」。

その思いはプロになっても変わらない。悩んだらジュニアのレッスンでやった基本に立ち戻る。プロになって3勝。渋野、原英莉花、小祝さくららの同期のライバルとしのぎを削り、女子ゴルフ界を盛り上げる。プレーと同じように、ジュニア世代の育成やチャリティーなどに積極的に取り組む。「プロゴルファーは夢のある仕事。自分たちを見てプロを目指す子どもたちがたくさん出てくるような存在でいたいな」。【桝田朗】

◆勝みなみ(かつ・みなみ)1998年(平10)7月1日、鹿児島市生まれ。名前の由来は人気漫画「タッチ」のヒロイン浅倉南から。鹿児島高1年の14年3月、ナショナルチームで出場したニュージーランドアマ選手権で日本人初優勝。同年4月のKKT杯バンテリン・レディースで史上最年少優勝。同年8月に日本ジュニア選手権、翌年6月に日本女子アマを制した。17年にプロテストに合格。ツアーでは18年に1勝、19年に2勝。157センチ、57キロ。

(2021年2月20日、ニッカンスポーツ・コム掲載)