#休校になった君たちへ-。1日に高校を卒業したロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)が4日、次なるステップ「対打者」に向け、投球を再開した。12年間の学校生活でビッグになった卒業生は“在校生”の子どもたちへメッセージを贈った。プロ19年目の西武栗山巧外野手(36)は、すでに名案を実行していた。野球少年でもある自身の子どもにオープン戦のリポート作成を提案。休校で空いた時間を有効活用させる。

ブルベンで投球するロッテ佐々木朗(撮影・足立雅史)
ブルベンで投球するロッテ佐々木朗(撮影・足立雅史)

学ランを着て登校することは、もうない。終えたばかりの学生生活12年間を、しみじみ振り返った。

佐々木朗 行かなくなってみて、いい場所だなと思います。人のつながりがすごく多いですし。学校では楽しい時と楽しくない時があると思うんですけど、ボクはいい思い出もすごくあったので。

休校-。小学3年の3学期末に、学校に行きたくても行けなかった。東日本大震災で被災。つらい出来事に直面しながら約1カ月、親戚宅で過ごした。小4の新学期は転校先で迎えた。

当時は少年が能動的に何かをできる環境ではない。それでも今の子どもたちの立場を思い、優しい表情で「学び」を話した。

ブルペンでの投球を終えたロッテ佐々木朗は防寒の手袋をつけ取材に応じる(撮影・足立雅史)
ブルペンでの投球を終えたロッテ佐々木朗は防寒の手袋をつけ取材に応じる(撮影・足立雅史)

佐々木朗 やることが与えられない時に自分で考えてやることが、これから求められていくと思うので、すごくいい時間になる。今の時間をうまく活用してほしいなと思います。その方が伸びると思うので。

163キロ右腕に成長した高校時代は、自主練習の時間も多かった。

佐々木朗 自分のことを理解しないと、そういう時間はうまく使えません。うまく使えたから、伸びたのかなと思います。

ロッテの先輩、主砲井上も言っていた。「みんながいてボクがいる。みんなでいることが幸せ、って感じるいい機会かもしれない」。自分自身を見つめ直す。集団内での自分を見つめ、理解する。その大切さを子どもながらに何となく肌で感じ、ビッグになった。

野球の練習ができずにいる少年少女へのメッセージも口にした。

キャッチボール中、笑顔を見せるロッテ佐々木朗(撮影・足立雅史)
キャッチボール中、笑顔を見せるロッテ佐々木朗(撮影・足立雅史)

佐々木朗 テレビやスマホで「見て学ぶ」ことにも使ってほしいなと。 ブルペン投球を撮影した球団公式動画の再生数は、すでに160万回超。18歳にして子どもたちの名コーチになった佐々木朗だが、一刻も早い騒動収束を願っている。【金子真仁】

○…佐々木朗はロッテ浦和球場のブルペンで33球を投げた。初めて捕手が座って正規距離を投げた2月27日以来、6日ぶり。「日が空いてしまったので、感覚を戻すことと、その中でなるべく強度を上げたいと思って投げました」。午後の教育リーグ・ヤクルト戦では、ネット裏でチャート記入係を務めた。

(2020年3月5日、ニッカンスポーツ・コム掲載)