身体の調子がいい状態で、集中して100%の練習を積み重ねることがパフォーマンスアップにつながります。しかし、選手から「食べると体が重くなる」「食べるとおなかが痛くなる」と言われた場合、まず、胃腸への負担を考慮して練習時間から消化にかかる時間を逆算して栄養補給することを考えましょう。消化不良を防ぎ、良い状態で練習に取り組めることにつながります。

練習開始から逆算して食べる

これはスポーツ時における栄養補給の基本でもあり、あらゆる競技に適応します。以下を参考に、練習環境や準備できるものから栄養補給計画を立てましょう。

練習2~3時間前=食事をとる。補食ならおにぎりやパンなど糖質主体の食品
練習1~2時間前=バナナや和菓子など消化によい糖質がとれる食品
練習30分~1時間前=エネルギーゼリーやスポーツドリンクなど半固形や液状の食品

必要量を食べられていないことも

一方で、自身の体調や胃腸の調子を軸に栄養補給やその量を考えると、思うように食べられず、実際には必要な栄養を補給できていないケースもあります。その結果、練習中にエネルギーが枯渇すると集中力やパフォーマンスの低下、それだけでなくエネルギーを作り出すために体たんぱく質の分解も生じ、回復や成長のためにより多くの合成を促さなければならなくなります。

それができないと、疲労の蓄積やエネルギー不足による様々な影響を及ぼします。特にジュニアアスリートの場合は胃腸機能も未熟なため、1回に食べられる量が少なく消化吸収の時間もかかるため、小食や食べることが苦手な場合は悩ましいことがたくさんあります。

その前の食事内容や量も大事

そのようなときは、練習前の栄養補給だけでなく練習中の補給を考えること、さらに前の食事までさかのぼって考えることも重要です。つまり、「食べられるときにどのように食べて補給量を確保していくか」が重要になります。

そのためには食べられるときに「ちょっと頑張って食べる」ことが必要です。子ども自身が食べることの意味や必要性の意識を持つことが大切です。夕方から練習があるときは昼食、午前練習なら朝食、早朝に出発するときは前日の夕食といった具合に、前の食事で多めに食べるということを意識付けしたらどうでしょうか。

「いい練習をしてパフォーマンスを上げるために」「丈夫な体をつくるために」「身長を伸ばすために」など子どもが意欲的になるテーマや目的を共有するのも良いですね。栄養不足が練習に影響しないように、子どもの意欲がわくアプローチを仕掛けて、家庭で普段の食事のとり方や練習前の栄養補給について一緒に考えて計画していきましょう。

今回紹介するレシピは「イワシと緑黄色野菜のABCスープ」です。イワシのサーディン(オイル漬け)を使うので、わずか10分、レンジで簡単に作れるスープです。

ニンジン、カボチャ、ブロッコリーといった緑黄色野菜から、免疫力強化やエネルギー代謝を助けるビタミンA・B・Cをとることができます。「ABCスープ」という楽しいネーミングで、何からどの栄養素がとれるのか、家族で共有するのも楽しいですね。

マカロニで糖質を、イワシでタンパク質もとれるので、1品でバランスよく、補食としてもおすすめです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美