栗、ブドウ、梨、サンマ、サツマイモ…秋はおいしい食べ物がたくさんありますね。食欲の秋、スポーツの秋と言うように秋には健康的なイメージがありますが、実は朝晩の温度変化や日照時間の変化によって自律神経に負担がかかりやすく、体調を崩したり体重やコンディションが安定しづらかったりする季節なのです。

「ダイエット」の捉え方

「ダイエット」というワードに、どのようなイメージがありますか? 英語の「diet」は本来「日常的な食事」を意味するものですが、日本ではどちらかというと「痩身」や「体重コントロール」といったニュアンスで使われることが多いように感じます。

競技によっては体重制限があったり、体重が軽いことが有利に働いたり、見た目や姿勢の美しさがプラスに働いたりするものもあります。ジュニア期のアスリートは、体の成長に伴ってベストパフォーマンスを発揮できる体重が変化するため、体重を増やさないよう意識する選手も出てきますが、体重(体脂肪)の減らしすぎは体の免疫力を低下させます。特に女性は無月経、骨粗しょう症などのリスクを増加させるため、注意が必要です。

糖質抜きはNG、成長に影響

体重を増やさないために炭水化物(糖質)を抜くという手段はおすすめしません。成長期のジュニアアスリートがエネルギー源となる炭水化物を減らすことは、パフォーマンス低下のみならず体の成長にも大きく影響するからです。

「やせたい」という相談に対して、私がいつも伝えるのは「お米を中心にバランスよく食べて」というアドバイスです。お米には次のようなメリットがあります。

お米のメリット

・麺類やパンに比べて腹持ちがよく、咀嚼(そしゃく)回数も増えるため満腹感を得やすい
・消化に負担がかかりづらく、効率よくエネルギー源となる

食品名 エネルギー(kcal) タンパク質(g) 脂質(g) 炭水化物(g) 食塩相当量(g)
ご飯(140g) 218 3.5 0.4 52.0 0
パン(5枚切り1枚80g) 198 7.1 3.3 37.1 0.96
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

「体重を維持する・減らす」ことばかりにとらわれ、無理な食事制限をすると体調を崩します。自分がどのような食事を摂った時にコンディションがよいのか、身長の伸びや練習量はどうか、ケガや貧血はないかなど、生活全体や体の状態も含め、食事を考えられるとよいですね。

白米が食べられないという選手も、「味ごはん」にすると食が進み、様々な食材を手軽に摂ることができます。今回のレシピは、秋が旬の食材を使って鉄分と食物繊維を強化した「アサリとマイタケの炊き込みご飯」です。

炊き込みご飯は、材料をお米と一緒に炊飯器に入れてスイッチを押すだけなので簡単です。生のアサリを使うときは、砂抜きした後フライパンで酒蒸しし、殻を除いて汁ごと加えてください。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子