九州は5月半ばに、異例の早さで梅雨入りしました。今のところ災害につながるような大雨には至らずホッとしている反面、本当に梅雨なのだろうかと思うほどお天気のよい日も多く、熱中症や食中毒などが心配されます。

近年は熱中症対策として塩分タブレットや経口補水液などが普及し、水分だけでなくミネラルも一緒に摂ることが一般にも浸透してきました。汗を大量にかく今からの時期、熱中症やつり対策としてナトリウムやマグネシウムなどのミネラルを意識すると思いますが、合わせて摂りたいのが「鉄」です。

夏は貧血のリスクが上がる季節

夏場になるとなんだか調子が悪い…練習しても練習しても記録が伸びない…こういった不調を単なる夏バテだと思っていませんか? その不調の裏に貧血が隠れているかもしれません。

汗をかくことで私たちの体からは、水分や塩分とともに「鉄」も失われています。夏場は発汗量が増える上、学生は夏休みに入ることで練習時間が増えたり、合宿や練習試合が計画されたりと運動量も増える傾向にあり、貧血のリスクが上がる季節です。

鉄のはたらき
・全身に酸素を運ぶ
・血液中の酸素を筋肉に取りこむ
・コラーゲン生成を促す(美肌、爪や髪の健康維持)
・体の成長を促す
・免疫力を上げる

夏を元気に乗り越えるために「貯鉄」

貧血は体内の鉄の貯金が底をついた状態です。一度貧血になってしまうと、体がベストパフォーマンスを発揮できるようになるまでに、それなりの時間を要します。貧血の指標ひとつである血中の「ヘモグロビン」の値自体は、鉄剤を服用すれば早くて2~3週間で上昇しますが、貯蔵鉄といわれる「フェリチン」が増えないことには、またすぐ鉄不足になってしまうためです。暑い夏を元気に乗り越えるために、今から「貯鉄」を始めませんか?

今回紹介する「ゴマみそレバー」は鶏もしくは豚のレバーと鶏のもも肉を使い、みそで甘辛く味付けて揚げることで、レバーが苦手な方でも食べやすくなります。レバーは水分を含んだ状態で揚げるとかなり油跳ねするため、揚げる前によく水分をぬぐってください(豚レバーの方が比較的跳ねにくいとも)。

レバーには鉄はもちろん、ビタミンB2、B6、B12、ナイアシン、ビタミンA、葉酸など多くの栄養素が含まれます。ビタミンAは油に溶ける性質を持つため、油を使った調理によってより効率よく吸収することができますよ。

私の勤務するこども園の給食にも登場するメニューです。このメニューだと、レバーの苦手な子どもも抵抗なく食べてくれますが、子どもたちによると「黒いお肉(レバー)より茶色いお肉(鶏もも)の方がジューシーでおいしい!」とのこと(笑)。子どもの味覚、侮れませんね。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子