進学、就職、転勤など生活環境や練習環境が目まぐるしく変わった4月が過ぎ、慌ただしさが少し落ち着く頃にゴールデンウイーク(GW)がやってきます。気温も夏に向けて急上昇する5月は、たまった疲れが出やすい時期です。

自分では「疲れていない」と思っていても、「パフォーマンスに精彩を欠く」「練習に集中できない」「眠気が強い」「食欲が落ちる(または極端に増す)」というようなことがあれば、体からのSOSサインかもしれません。このサインが出た時は体を休めることも重要ですが、「よく噛んで食べる」ということにも気を付けてほしいと思います。

一定のリズムを刻む運動でセロトニン分泌

ジョギングや自転車こぎのような一定のリズムを刻む運動は、「セロトニン」というホルモンの分泌を促すということが分かっています。「咀嚼」もそのひとつです。

セロトニンは別名「しあわせホルモン」とも言われ、高揚感を感じさせ、抑うつや精神コントロールに大きく関わっています。海外のスポーツ選手がよくガムを噛みながらプレーする姿を見ますが、これは緊張をほぐし、心身をリラックスさせてベストパフォーマンスを発揮できるようにするためです。つまり、しっかり噛んで食べることは、消化を助けるだけでなく、精神面を安定させる効果もあるのです。

セロトニンを作るトリプトファンを多く含む食材

セロトニンを体内で生合成する材料のひとつに、必須アミノ酸(体内で作ることができず食事から補う必要があるアミノ酸)の「トリプトファン」があります。トリプトファンは、次の食材に多く含まれますので意識して摂ってみましょう。

トリプトファンを多く含む食材
・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)
・大豆製品(納豆、大豆、豆腐など)
・魚類(マグロ・カツオなどの赤身の魚)
・ナッツ類

切り干し大根をよく噛み、栄養価もアップ

大根は干すことで水分が抜け、カルシウムや鉄などの栄養素が凝縮されます。切り干し大根は噛み応えもアップするため、よく噛むには大変おすすめな食材です。

切り干し大根には煮物のイメージが強いようですが、実はぬるま湯で戻して絞るだけで、サラダとしておいしく食べられます。今回紹介する「切り干し大根の棒々鶏サラダ」も、切り干し大根を手軽においしく食べられるとして、子どもにも人気のメニューです。

「独特のにおいが気になるからあまり買わない」という声もよく聞かれますが、冷凍庫で保管すると全くにおいは気になりませんよ。水分量が少なく凍らないため、取り出してそのまま使えるのも魅力です。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子