こんにちは。KAGOSHIMA食×スポーツから公認スポーツ栄養士の田畑です。

11月は、中学生向けに食育の授業を担当する機会が多くありました。毎回、丁寧な感想をいただき、個々で気づきや感じ方が異なるのがとても面白いのですが、中でも目に留まるのは、食への考え方が変わったというものや、これからの意気込みを書いてくれるものです。

そこで今回は、子どもたちが食育の話を聞いた感想から見える「食への関心度が高まったポイント」を3つ、紹介します。

1、身長を伸ばしたい

身長を伸ばすことは、子どもたちにとって「最も関心の高いもの」と言っても過言ではありません。身長が伸びるためには、成長するためのエネルギーをしっかりと食事で確保していることが大切です。運動や日常生活で消費して不足していることもあれば、朝食の欠食や小食などで、食事からとれる量が少ない場合もあります。

気づきの最大のポイントは、ご飯の量を計ったり、写真と見比べてみたりして、「自分が食べている量って少ないんだ。」と自覚したときです。「全然足りていないことが分かったので、一口ずつでも増やしていけるように頑張る」「帰ってからのおやつは、おにぎりにする」など、自分でできる具体的な対策を考えることも大事です。まずはどのくらい食べているかな? と家庭で確認してみるのもいいでしょう。

2、体力向上、持久力向上

運動部の部活動をしていると、「体力をつけたい」「持久力をつけたい」という子は多くいます。これまで、その課題は単純に運動能力の問題だと思っていたようですが、食事との関係性を伝えると、食べることに意欲的になったという感想がありました。

学校でも家庭でも出てくる悩みに「好き嫌い」があります。そこで、成長期は貧血になりやすい時期で、体力や持久力を上げるためには貧血の予防が大切だということ、それらの栄養素は給食のメニューでとれることを伝えると、「給食は私たちのことを考えて作ってくれていることが分かった」「親に感謝をして、残さず食べるようにしたい」と、作ってくれる人への感謝の気持ちが沸くなど、新たな視点も生まれていました。

体力向上や持久力の向上を目的とし、練習を頑張ることに目を向けがちな子や、「好き嫌いは変えられない」と言い張っている子であっても、視点を変えるきっかけを作ってあげることで、目的の達成につながることもあります。いろいろな切り口でアプローチしてみましょう。

3、頭が良くなりたい

特に今年はコロナの影響で、最後の大会を終えて部活動を引退できたという子どもも少なく、なし崩し的に受験モードに入っているケースの多く見られます。その点で「学力と食との関係」も気になるようです。その中で、朝ご飯をあまり食べられない子は「夜が遅くなってしまうから朝はおなかが空かない」という気づきがあったようです。

「食べることが大事!」と伝えても、それを実行できる環境が整わなければ、できません。また、学校、部活、塾など、子どもたちは意外と自由な時間が限られていることも多く、必要な栄養をとるための食事と、記憶の構築や疲労回復のための休養(睡眠)時間と、時間の管理も重要です。子どもが自身でどうなりたい、そのためには「いつ・誰が・何をするのか」ということを、具体的に考えさせることも大事ですね。

私たちは食事を1日3回、間食+αをとっています。当たり前のこととして無意識に行われがちですが、目的や必要性を理解できれば意識的に取り組むことができるでしょう。子どもたちも主体的に、関心を持続できるようになります。子どもがどんなことに興味・関心があるのか、どこを目指しているのか、そのためにどうすればいいのか、食との関係性を食卓で話題に出してみてください。

今回紹介するレシピは、「カキ缶で簡単本格パスタ」です。成長のために必要な亜鉛や鉄が豊富なカキの燻製缶を使うことで、簡単に本格パスタができます。サバ缶やイワシ缶に変えたり、味を変えたりすればバリエーションも増やせます。貝や魚の缶詰は栄養価も高いので、学生アスリートにもおすすめです。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・田畑綾美