男子バレーボールの人気が上がっています。その理由は石川祐希選手の出現、そしてアニメ「ハイキュー!!」の効果でしょう。

小柄な日本人が世界の強豪と戦う様子は、タイやフィリピンなどのアジア圏の人々に非常に好意的に受け入れられているようです。「小柄」といっても、選手たちは日本人の中ではかなり大きな人たちばかりです。ということから、バレーボールをするならやはり大きいほうがいいと思うわけです。

大人のアスリートと同じ食事でいいのか

成長期が訪れる時期には個人差があり、身長が伸びるのにはかなりのエネルギーが必要です。いくら食べても細くて細くて…という選手が男女ともおり、以前、私が指導した選手の中にも必死に食べているのに体重が増えず、身長の伸びに比例して体重が増えない選手がいました。

食事画像を見せてもらうと、そこにあったのは高タンパク・低脂肪で、「おとなのアスリートであれば100点」のアスリート食でした。その選手の保護者は元バレーボール選手。完璧なまでのアスリート食を作り、選手も食べる量が少なすぎるわけではありませんでしたが、低脂肪食材が主体のため、脂質が少ない分のエネルギーを主食のご飯で補えていなかったのです。成長が止まり、体が出来上がった大人と、成長中の子どもでは適した食事内容が違うということです。

子どもは第一に「エネルギー不足を防ぐ」

その保護者にはまず、「この食事は素晴らしいアスリート食です」ということをお伝えした上で、「成長スパート期の子どもには油を使った料理を出してもいい」と理由をお話しして、油脂を使って少し食事のエネルギー量を多くしてもらいました。

足りない分のエネルギーを補給するために、ご飯の量を増やして食べ切れるならそれでもいいのですが、1gあたり9kcalある油脂を適度に使えばいいのです。その後、その選手の身長と体重は、少しずつですが、増えてきているようです。

アスリート食の基本は、確かに高タンパク低脂質ですが、活動量の多い成長期の子どもたちの食事量を考えるときに「油脂はできるだけ少なく」というルールで食事をさせると、かなり無理なことも出てきます。「エネルギーが不足して大きくなれなかった」とならないよう、上手に脂質も使い、エネルギーをしっかりとらせていきましょう。

今回は「冷凍揚げナスと小エビの中華風」を紹介します。ナスの素揚げも小エビも冷凍のものを使用します。今は、冷凍の食材も各種販売されているので買い置きに便利です。ナスは露地栽培のものはこれからが旬ですので、それを使うのもいいでしょう。

成長に必要なエネルギーは、思ったより多いものだととらえ、今ちょうど身長が伸びているという子どもには油脂もうまく使っていきましょう。

管理栄養士・月野和美砂