保護者対象のスポーツ栄養セミナーをすると、時々補食について「手作りと市販品、どちらがいいでしょうか」と質問されます。結論を言えば「状況によって違う」で、夏の時期は最優先すべきことがあります。

料理が得意な方は補食作りも苦ではないでしょうし、家にあるもので作って持たせた方が経済的にも負担が少ない面はあります。しかし8月下旬以降も残暑がしばらく続くことが想定されますので、この期間は「食中毒防止」を優先しましょう。

つまり、暑い時期の補食は市販のエネルギーゼリーやエネルギーバーなどが一番衛生的で安全です。特に朝、家を出て夕方以降に口にする補食は、腐敗防止の観点から市販品の方が安心です。市販品は持ち運びも便利ですし、開封しなければ日持ちするので買い置きもできます。

荷物の置き場所にも注意して

手作りのお弁当や補食を持ち運ぶ際は、保冷剤などを使用するのはもちろんですが、それを過信せず、なるべく涼しい場所に荷物を置くようにして欲しいものです。屋外で活動する選手のバッグが、直射日光にさらされているのを見ると「あの中にお弁当や補食はないだろうか」と心配になることがあります。朝は日陰になっていた場所が、時間とともに日向になってしまうことがあるので、子どもにもその点を注意させるようにしましょう。

今の子どもたちは食材や料理が傷むことを知らないケースが多いので、そういったことも教える必要があります。季節が涼しくなったら、また手作りの補食を持たせてもいいですね。

今回紹介するのは「ピーマンと鶏もも肉の黒酢炒め」です。鶏肉の中でもも肉はタンパク質が多いものの、脂質も多いので、油脂はなるべく抑えたいという場合は、むね肉やささみを使うといいでしょう。

ピーマンは抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンC、ビタミンEが含まれています。βカロテンやビタミンEは脂溶性のため、油で炒めて食べることで吸収が良くなります。

今年も異常な暑さです。長期間、暑さにさらされて体力が落ちると、食あたりや食中毒のリスクも上がります。「ピーマンと鶏もも肉の黒酢炒め」を食べて、残暑の中でもしっかり体力を維持していきましょう。

管理栄養士・月野和美砂