高校バレーボール界では毎年11月に、来年1月に行われる全日本選手権大会の各県代表が決まります。神奈川県も先日、代表校が決まりました。これまで、バレーボールの育成年代の大会はほとんどトーナメント戦で行われてきました。「負けたら終わり」の方式です。 

そんなバレーボール界に新たな価値観を作り出す画期的な取り組みが宮城県で始まりました。宮城県のクラブチーム、TEAMi(チーム・アイ)が主管する大会「東北アイリーグ2021」です。私が指導に関わる中学生女子のクラブチームもオープン参加させていただきました。

リーグ戦に選手全員が出場

この大会は、主に東北にある中学生年代の6つのクラブチーム(TEAMi、TEAMi福島、リガーレ仙台Jr、岩手県OWLS、青森県WINDS)がリーグ戦を行い、シーズンの優勝を競うもの。「優勝を競う」といっても勝敗だけにこだわるわけではなく、選手が最大限に力を発揮できるように、様々な工夫をこらしています。

大きな特徴として、
・リーグ戦方式をとる。
・1試合3セットマッチではなく、必ず3セット行う。
・主審・副審は公認審判員が務める。
・公式アナリストがつく。
・プロの会場MCがつく。
・試合はYouTube配信(一部はライブ配信)。

これらは、選手が自然と意欲的に取り組む環境を作る目的として考えられ、1チーム14人全員が試合に出るということがルールとなっています。どの選手もベンチで終わるということはありません。

BGMに会場MC、選手インタビューも

ノリの良い音楽とともに会場MCがスターティングメンバ―や監督、審判員を紹介し、そのたびに会場から拍手が起こります。ゲームの中でも素晴らしいプレーをMCがすかさずコールし、会場からの拍手を誘います。敵、味方関係なく上手なプレーをたたえようという会場の空気もうまく醸成されています。

各試合が終われば代表選手のインタビュー、各試合のMVP選出と、まるで国際大会のよう。どの選手も楽しそうにしているところが印象的でしたが、単に楽しめたらいいというのではなく、将来のトップアスリートを育てるべく、フィジカルトレーニングやスポーツ栄養についても継続的に指導をしています。

選手の意欲引き出す効果的な仕組み

負けたら終わりのトーナメントでは、レギュラーだけが試合に出るのが当たり前となってしまいますが、このようないくつもの仕掛けにより、子どもたち1人1人が「次の対戦までにもっとうまくなろう」と思える仕組みを大人が作っています。育成期の選手たちの「強くなりたい、うまくなりたい」というモチベーションは、体作りのための食事やトレーニングにとってかなり重要です。「必要だから」と情報だけ与えてもなかなか取り組みませんが、モチベーションがあれば小さなことでもすぐに実践しますし、意欲も続きます。

子どもたちの可能性をできる限り引き出せるように、意欲をかき立てる取り組みに触れて、選手の栄養指導をする立場としても非常に意義のあるものになりました。

さて、今回は「カラフルニンジンと鶏もも肉のカレー風味炒め」を紹介します。ニンジンは年間流通していますが、秋から冬の時期が旬で甘さも強くなります。年末に近づくと、赤色の強い「金時ニンジン」も見られるようになります。

オレンジや黄色いニンジンにもβカロテンが多く含まれていますが、金時ニンジンの濃い赤は、リコピンというトマトにもある成分です。リコピンもカロテンの一種ですが、βカロテンとは違ってビタミンAには変化せず、リコピンそのもので活性酸素を減らす働きがあります。カロテン、リコピンとも油で吸収が高まるので、適度に油を使用するのがポイントです。

練習や試合の疲労を早く回復させ、感染症を予防するために、旬のニンジンの栄養をしっかり体にとりこみましょう。

管理栄養士・月野和美砂