通常に近い練習ができる日々が戻り、ホッとされている保護者、指導者も多いのではないでしょうか。私が関わるクラブも近々試合に参加するので、定期的に行うスポーツ栄養のセミナーでようやく「試合期の食事」について取り上げました。

通常の練習の時は、アスリートの基本的な食事である「主食、主菜、副菜、乳・乳製品、果物」をそろえることが基本ですが、試合期はこれが変化します。

精神的なストレスといつも以上の力が

練習と試合で何が違うのかと言えば、初めて袖を通すユニフォームにやる気満々になったり、ミスしないかな…などと不安になったりという精神的なことが加わります。さらに、実際の試合で必要なのがエネルギーです。「練習でも100%頑張っているから同じでは?」と感じるかもしれませんが、試合では「火事場のバカ力」が出ます。精神的なストレスも含め、体力的にもいつも以上に力が出てしまうことが大いにあります。

エネルギー源となる糖質を多めに

従って、試合の数日前からは一番必要なエネルギーを少し多めに、おかずなどはだいたい一緒の「高糖質・低脂肪・タンパク質そのまま」という食事をしていきます。糖質が大切だからと、普段の食事のおかず部分を減らしてしまうと、食物繊維が通常時より極端に減ってしまい、便秘になることもあるので、副菜はいつも通りに食べたほうがいいでしょう。

調理法の工夫で油脂を控える

普段の食事を低脂肪にするには、調理での油脂の使用量を抑えられるように「揚げ物→蒸す・焼く」に変更します。例えば、「とんかつではなく、ゆで豚」にするという感じです。炒め物など油を使った調理をしてはいけないわけではなく、する場合は消化への負担が軽くなるよう少量にとどめるのがポイントです。

試合前の緊張などは、試合経験を積むことでかなり変わってきます。クラブの選手たちには「試合前の食事も経験を積むことが大切。各選手が自身の体に合わせ、どんな食べ物がどのくらいの量がいいのかも含め、試合経験と同じように経験を積んでいこう」と話しました。 

経験ですから失敗もあるかもしれません。育成年代の子どもたちにとって失敗経験も、次はどうしたらいいかと考えるための意味があるものだと思っています。試合前の食事も試合と同じように経験を積んで、理にかなった試合前のルーティンができていくといいですね。

今回は「ささみとヒラタケの簡単ゴマあえ」を紹介します。ささみ、ヒラタケ、ピーマンをフライパンで油で炒めることもできますが、あえ物にすれば調理油を使わないおかずになります。

ヒラタケの旬は11月~3月と寒い時期。味にくせがなく、みそ汁でも鍋でも炊き込みごはんでも、広く使いやすい食材です。ビタミンB1やビタミンB2が多く、主食(糖質)をエネルギーに変えるのを助けます。また葉酸も多く、中高校生にとっては貧血の予防にも一役買ってくれます。

管理栄養士・月野和美砂