成長期の男子の栄養セミナーなどでは「小食・偏食」「体が大きくならない」という悩みが多く寄せられますが、数は多くないものの「おなかが緩くなる」という質問も受けます。

大量の食事を短時間で飲み込むと

いわゆる「増量」を目的にした競技や種目では、本人の希望だけでなく指導者から「体を大きくするように」と、日頃食べている量や食べられる量をかなり上回った指示が出されている場合があります。成長期のピークと重なり、難なく完食でき、食べる量を増やせる選手もいますが、中にはそれによって食べることが嫌になる選手もいます。

確かに、強いアスリートはしっかり食べられます。一方でそうなるまでに時間がかかる子どももいるのが現実です。

親子共々必死に大きくなろうとして、少しでも多く食べよう、食べさせようとしても、毎回のように下痢したり、便が緩くなったりするケースもあります。特に、増量のために「短時間」で「大量」の食事をしようとすると、焦ってよく噛まずに飲み込むことがあります。そうすると、下痢をしやすくなってしまいます。

栄養分を吸収できずに排出

下痢をすると、栄養分を吸収できないまま排出することになるので、せっかく食べたものが無駄になってしまいます。まず胃腸の状態を回復させることが必要です。

食事の対策としては、消化のいいもの、食物繊維が少ないもの、辛いものなど刺激物をとらないといったことが挙げられますが、それ以前にまず、「しっかり噛んでから飲み込む」ということが重要です。食べ物をよく噛むことによって、唾液からアミラーゼという酵素が出され、口の中で消化するので胃腸の負担を軽減します。

学生時代によく噛まず、早食いの癖があり、日頃から便が緩いと思い込んでいた成人男性が、きちんと噛んで時間をかけて食事をしたら翌朝、便が緩くなくてびっくりした、という話を聞いたことがあります。このようなことから、食事量が多いときは、食べる時間を確保した上で、しっかり噛んでリラックスしながら食べるよう、家庭でも気を付けてあげるといいでしょう。

今回紹介するのは「ところてんとチキンとキュウリの酢の物」です。夏に食べたくなるところてんを酢の物に使えば、透明感が涼しげな酢の物になります。 

キュウリは夏が旬の野菜で、露地ものはハウス栽培のものに比べてビタミンCが倍以上あります。多くの栄養価は期待できませんが、暑い中での水分補給に適しています。

暑い時期ですから火を使わず、市販品のサラダチキンや厚焼き卵、ところてんをポン酢で合わせましょう。市販の卵とチキンでタンパク質もとれるおかずになります。

管理栄養士・月野和美砂