小学生の保護者らを対象にセミナーを行うと、子どもたちの偏食が話題に上ることが多々あります。子どもたちの嫌いな食材というと、昔も今も野菜類。「食卓に出しても子どもが手を付けないから、その食材は使わずにできませんか?」という質問をされることもあります。

保護者の皆さん自身はどうでしょうか? 何かきっかけがあって食べられるようになった、ということはありませんか?

子どもの嗜好は変化します。楽しい雰囲気や好きな友だちと一緒に食べるなど、普段とはちょっと違う雰囲気が食べるきっかけになることがあります。

好き嫌いをなくすために大切なこと

好き嫌いをなくすには、その食材を「食卓に出すことをやめない」ことが大切です。次に「小さくする」。肉じゃがのニンジンは箸で取り除きやすい大きさですが、細かくしてしまうと食べられる場合もあります。

そして「混ぜ込む」。細かくしたら混ぜ込んでしまいましょう。混ぜ込む料理は子どもの好きなメニューがいいですね。さらにちょっと濃いめの味付けにするといいと思います。

昔は学校給食で何でも食べられるよう、ある程度の強制力がありましたが、今はそれを行うと問題になる時代です。学校に頼ることはできません。ただ、食わず嫌いの場合は、ある程度強制して食べさせることも、私は必要だと思います(食物アレルギーの場合は当てはまりません)。

私の合宿の食事でも、おそるおそる初めて食べるものを口にしてみたら「おいしいです~!」という選手が多いのも事実。食事を提供する際には、ただ料理として出すだけでなく、どんな食材なのかを頭で理解させ、体に必要なものだと分からせるよう心がけています。この先、アスリートとして生活する上でも、その後の人生を送る上でも「頭で(理解して)食べる」ことを、スポーツを通じて育てていきたいですね。

今回は「豆腐とニンジンのミルクポタージュ」を紹介します。ミキサーでニンジンを細かくし、牛乳も入れるので野菜の匂いが残りません。

生クリームを少し足したり、オリーブ油やバターを少し入れたりすると、ニンジンに含まれるβカロテンの吸収が上がります。また、木綿豆腐と牛乳でタンパク質やカルシウムもとれる優しいスープです。

子どもの好き嫌いは工夫して、気長に少しずつ減らしていきましょう。

管理栄養士・月野和美砂