夏の大会に向けて、熱中症予防はもちろん大切ですが、「暑さに慣れていく」ことも大切です。暑い中でのトレーニングはとても大変だとは思いますが、一生懸命トレーニングをしていると暑さに慣れる、つまり、暑さに対する抵抗力がついていきます。

そうすると、暑い中でも体温の上昇や心拍数の増加などの生理的ストレスが軽くなっていき、上手に汗をかいたり、発汗による体温調整が効果的にできるようになります。すると、同じ条件下でも良い状態で試合に臨める時間が長くなっていくのです。

暑さに慣れることの大切さをわかっていただけましたか? これを「暑熱順化」とも言いますが、本格的に暑くなる前の今の時期から「暑さに慣れる」ことを意識して生活していきましょう。

暑くて食欲がないとき、何を選ぶか

とは言うものの、やはり暑い中での練習は疲れます。先日も、暑い中での練習を終えた選手たちが「疲れた~!」と言いながら食堂に入ってきました。

さて問題です。そんな状況で皆さんが一般的なビュッフェスタイルの食堂に入ったら、最初にサラダコーナーがありました。どんな料理を選びますか?

「疲れた~」「食欲ない~」と言いながらも、生野菜を山ほどお皿に入れようとしている選手がいたので「葉っぱ、好き?」と声をかけました。

もちろん、大好きで食べたいのなら、食べればよいと思います。しかし、そうではなく、「野菜を食べなければ!」という意識で生野菜を選んでいるようだったので、野菜の選び方について一緒に考えてみました。

「今の自分には、生野菜と温野菜のどちらが良いのか」
「野菜を加熱すると、どうなるか」

お鍋の白菜などを思い出してください。加熱すると、生野菜に比べて水溶性ビタミンのビタミンCなどは少なくなりますが、かさが減ってたくさんの量を食べられるようになりますよね。繊維や組織が壊れ、柔らかくなり、食べやすく、消化も良くなっています。

そんな話をすると、その選手は生のレタスを選ぶのをやめて、ホウレン草のお浸し、白菜たっぷりのみそ汁、ゆでたブロッコリーを選びました。疲れている時は消化能力も落ちているので、無理をして生野菜をたくさん選ぶのではなく、食べられそうなものや消化の良さそうなものを選ぶことも考えましょう。また、疲れている時こそ、よく噛んで食べることも大切です。

同じ100gでこんなにも違う生と加熱

生のホウレン草100g
生のホウレン草100g

左は加熱したホウレン草、右は生のレタス類。どちらも100gですが、見た目がかなり違います
左は加熱したホウレン草、右は生のレタス類。どちらも100gですが、見た目がかなり違います

さて、この写真は「100gの野菜を目で見てみよう」という実習をした時のものです。100gの生のホウレン草を加熱すると、お皿にちょっと乗るぐらいの量になります。右のお皿にある生野菜も同じ100gと、生と加熱したものでは、こんなにも見た目に違いがあります。同じ量の野菜を食べるとしたら、その時の状況や気分で選んだり組み合わせたりできるようになると良いですね。

そのお皿のメイン料理は「麹甘酒みその豚肉のオーブントースター焼き」です。先日紹介した「麹甘酒のフルーツヨーグルト」で使用した麹甘酒とみそを1:1で混ぜたものに、漬け込んで焼いただけの簡単レシピです。朝、出掛ける前にポリ袋に麹甘酒とみそ、肉を入れて、冷蔵庫に入れておけば、帰ってきてオーブントースターで焼くだけです。

麹甘酒
麹甘酒

フライパンでもおいしく焼くことはできますが、1人暮らしなどで作る量が少ないときは、オーブントースターを活用すると調理がぐっと楽になります。タイマー設定もできるので、その間、付け合わせやみそ汁などを作れます。ぜひ、お試しくださいね。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵