朝食をしっかり食べることは大切だと頭では分かっていても、行動に移せていない人もいるのではないでしょうか。特に夏休み中は生活リズムの崩れから、朝食を食べない人が増える時期です。最近、直面した2件の「朝食の課題」について、一緒に考えていきましょう。

ある高校の男子寮のケース

ある高校の男子寮からの相談です。多くの生徒が食堂で用意された朝食を食べることなく、登校していくというのです。運動部に所属する生徒も、寮に入る前までの生活で朝食をとる習慣がなかったことから、朝食を食べない状況だということでした。やはり、小中学生時代の食習慣はとても大切ですね。

私は、「とりあえず何でも良いので、朝何かを食べるという習慣をつけて、それから内容を良くしていってはどうか」と寮の担当者にアドバイスをしました。ただ、そう簡単にはいかないようです。

集団給食の現場では栄養管理が求められるからです。しかし、いかに栄養バランスの整ったものを提供しても生徒たちは食べてくれず、フードロスも気になります。何に重きを置くのか、今後、様々な観点から対応を検討していくことになりそうです。

サッカー選手の試合でのケース

もう1件は、サッカーの現場でのことです。猛暑の中、練習や試合が連日実施されていますが、朝食をしっかりとれているかどうかで、パフォーマンスは大きく変わってきます。試合後半でコンディションが低下し、体調が悪くなった選手にその日の朝食を確認すると、「塩分の低いパンとプリン、牛乳だけ」ということがありました。平日の朝は、保護者が弁当と一緒に食事を作ってくれるものの、週末の朝食は「簡単なもの」になっているとのことでした。

このケースをきっかけに、チーム全体で今一度、「夏休みの朝食をしっかり食べる」ことを考える時間を作りました。実際の試合の日の朝食を書き出し、振り返ってみて、何か足りなかった選手は、自分で用意できそうなものを考えて、書き加えてもらいました。すると、ヨーグルト、サラダ、目玉焼きなどが挙げられていました。

このようなワークをすることで、用意されているものをただ食べるだけではなく、自分で食べるものを考え、意識するようになって欲しいと思っています。前述の選手も、次の試合の時には「ご飯、みそ汁、目玉焼き」の朝食を食べてきたとの報告がありました。

熱中症対策にもなるみそ汁

「朝、みそ汁の良い香りとともに目覚めておなかが空く」。そのような習慣ができていくとうれしいものです。みそ汁は、水分と塩分がおいしくとれるので、熱中症予防としておすすめです。具に野菜や豆腐、油揚げ、肉などを加えて、1品のおかずにしても食べやすくて良いですね。今回紹介する「5分で完成!モロヘイヤとオクラと豆腐のみそ汁」も、そんな具だくさんのおかずみそ汁です。

今の時期は、静岡では様々な採れたて夏野菜が手に入ります。モロヘイヤとオクラに絹ごし豆腐を加えることで、不足しがちなカルシウムや鉄の補給ができます。

静岡産の採れたての夏野菜
静岡産の採れたての夏野菜

豆腐や葉物野菜を使ったみそ汁は、忙しい朝でもすぐに作ることができます。この夏休み、中学生以上なら保護者が作ってくれるのを待つだけでなく、簡単なみそ汁を自分で作って欲しいと思っています。

それでも作るのは大変と感じる人は、フリーズドライのみそ汁や、お湯を入れるだけのだし入りみそに乾燥わかめと冷凍刻み油揚げ、焼き麩などを入れるものから始めてみませんか。1日を気持ちよく始めることができるはずです(血圧が高いなど、塩分の摂取制限がある人は医師・管理栄養士の指示に従ってください)。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵