先日ようやく、藤枝東高サッカー部の食事トレーニングを再開することができました。毎年、冬の全国選手権に向けた県大会まで部活動を続けず、大学受験のためにインターハイ予選を兼ねた夏の県大会後に引退する3年生がいますが、今年はイレギュラーな年。すでに3年生30人のうち、15人が引退していました。毎年、引退した選手のはなむけに行う「食トレ卒業式(通称エール飯会)」も何とか実施でき、新1年生にもやっと会うことができました。

「自分データ」の蓄積によって、自己管理能力を高める指導をしています。今まで2カ月に1度行ってきた体組成測定を4カ月ぶりに実施。自分が休校中に取り組んできたトレーニングの成果がどうだったのか、「自分データ」をようやく分析することができて、選手たちはうれしそうでした。

毎週、食事トレーニングを実施していた「当たり前」の時は、意識の高い選手のほか、体調に不安がある選手、ケガをした選手が、トレーニング後に個人的な質問をしてきましたが、今回は特に問題がない選手も個人的な質問をするため、長蛇の列ができました。コロナ禍を「チャンス」と捉え、前向きに行動している姿に、私も大きな学びをもらいました。

「体脂肪が少なくて悩む」

今回の質問の中で多かったのが、「体脂肪が少なくて悩む」というものです。

・たくさん食べているのに体重が増えない。
・食欲がなくても、エネルギーを摂りたい。
・頑張りすぎると下痢しやすく体に力が入らない。
・夏は毎年食欲が落ちてどうしても体重が減ってしまう。
・背を伸ばすためにも、エネルギーを貯めこみたい。

特に中学を卒業したばかりの高校1年生は、指導者からも「まずは体作り」と言われているので、焦る気持ちを必死に訴えてきます。

良質な脂質を上手に活用

そこでアドバイスするのは「良質な脂質を上手に活用しよう」ということ。エネルギーになる炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質の3大栄養素の中でも、脂質は1gあたり約9kcalと、糖質やタンパク質の1gあたり約4kcalと比べ、少量で多くのエネルギーを摂ることができます。脂質を意識して、無理なく、手軽にエネルギーアップできる工夫を紹介していきましょう。

「○○にプラス」を実践

みそ汁にプラス=みそ汁には「ゴマ油」や「バター」を加えると、いい香りも食欲をそそります。

食パンにプラス=食パンにはジャムやはちみつに加え、「バター」「ピーナッツクリーム」をプラス。「クリームチーズ」もとても合います。

スープにプラス=あっさりしたスープもおいしいですが、水の半量を「牛乳」や「豆乳」にしてポタージュに。さらにコクを出すためにも「生クリーム」を仕上げに加えると、味わいもまろやかになり、エネルギーアップにもなります。夏場は冷やすと飲みやすくなります。

麺類にプラス=そうめんやうどんなどには「ゴマ油」の他に、「半熟卵」や「天かす」などもおすすめです。

おかずにプラス=おかずには「マヨネーズ」や「すりゴマ」を食べる前にかけましょう。

なお、私が気にいっているのは、「納豆にゴマ油」「かつお節にしょうゆ+ゴマ油」です。

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