「春からはどんな生活になるの?」と、3月に高校卒業を控えた選手に聞いてみました。春から生活が変わる予定の選手は、自分がどのような食生活になるのか、一緒に想像してみてください。

1人暮らしになる選手は、朝起きたらおいしいご飯が作られている今の生活とは違い、まず、自分で朝食を用意しなければなりません。昼食もしっかり食べ、トレーニングを終えて家に帰ったら、夕飯も自分で用意する必要があります。

前述の選手は「鶏肉が好きだから、毎日鶏肉食べようかな。料理は得意だから大丈夫!」と、笑顔で答えてくれました。料理が得意というのは、大きな安心材料です。

ただ毎日、鶏肉で良いのでしょうか。スポーツ選手の中では「鶏肉が良い」というイメージが強いようですが、果たしてそれでいいのか、考えてみましょう。

鶏・豚・牛で成分を比較

日本食品標準成分表2015年版の「鶏むね肉(皮なし)」「豚もも肉(皮下脂肪なし)」「牛もも肉(皮下脂肪なし)」を同じ100gで比べてみます。

<鶏むね肉、豚もも肉、牛もも肉の成分比較>
※左からエネルギー(kcal)、タンパク質(g)、鉄(mg)、ビタミンB1(㎎)

鶏むね肉(皮なし) 116、23.3、0.3、0.10
豚もも肉(皮下脂肪なし) 148、21.5、0.7、0.94
牛もも肉(皮下脂肪なし) 181、20.5、1.3、0.08

これを見ると、以下のことが分かります。

エネルギーは、牛もも肉が高く、鶏むね肉が低い。
タンパク質は、鶏むね肉が一番多い。
アスリートにとってとても大切な鉄は、牛もも肉が高い。
糖質代謝の手助けをして、疲労回復に活躍するビタミンB1は、豚もも肉がとても多い。

このように、食材にはそれぞれ特徴があり、同じものばかり食べていると、偏りが生じてしまいます。「色々な肉を使って料理をすること」「鶏肉を料理する時は、鶏肉に少ない鉄分の多い緑黄色野菜を一緒に食べることを意識できると良いね」と、選手には伝えました。

例えば、鶏肉のソテーの付け合わせに、今が旬のチンゲン菜を使ってみてはいかがでしょうか。今回は、そのチンゲン菜とパプリカを使った「彩り野菜のツナ炒め」を紹介します。カラフルでとてもおいしそうなお皿が出来上がります。

静岡県は、チンゲン菜の生産量ランキングで、茨城県に続く2位。今回のレシピは、チンゲン菜とパプリカを使いましたが、アスパラガスやピーマン、ホウレン草など、色の濃い野菜なら他の野菜を使ってもいいでしょう。

色の濃い野菜(緑黄色野菜)は鉄だけでなく、成長期に大切なビタミンAの仲間、βカロテンが多く含まれています。βカロテンは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に食べることで吸収率がアップします。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵