夏の練習を乗り越え、フィジカルもメンタルも一回り大きくなった選手たち。たわいもない話の中からも成長を感じ、それぞれの目標がハッキリしてきて感心するばかりです。何でも吸収しようとしているタイミングを逃してはなりません。

残念ながら、ケガをしてしまう選手もいますが、そんな時こそチャンス。有効利用し、選手としての幅を広げる時間にしましょう。

先日、試合中に相手選手と接触し、骨にヒビが入った選手がいました。少し好き嫌いがあって、なかなか「食べる」ことに対し、積極的でなかった選手でしたが、ケガをきっかけに、「今の自分は何をすれば良いのか」を考えられるようになりました。

一緒にゲームを見ていても、「なんであそこでパスを出さないんだろう」「〇〇が良いところに動いていたのに」「今日の△△、良いですねぇ」と、チームの一員としてしっかりと頭を動かし、分析。そんな気持ちが前向きなところで、試合終了後の待ち時間にプチ栄養講座を実施しました。

「自分のこと」として受け止めるか

「牛乳をたくさん飲んでいるって言ってたけど、カルシウムと一緒に摂った方が良い食べものや栄養素、覚えてる? 牛乳もエネルギーがあるから、飲みすぎはダメなんだよ」と伝えると、

「え?」

今までこの話は何度か伝えてきましたが、やはり「自分のこと」として頭に残っていなかった様子です。しかし、この日は違いました。耳も、心も、こちらに向いています。

こういう時が、覚えるチャンスです。

「カルシウムの吸収には、ビタミンDと ビタミンKがお手伝いをしてくれているんだよ」「ビタミンDはサケなどのお魚に、ビタミンKは納豆や、ブロッコリー、ホウレン草などの緑色の野菜に多く含まれているんだよ。食べてるかな?」

「そうなんですか? 納豆は毎朝、食べています。魚も好きなのでよく食べてます」

会話が進み、反応も良好でした。

成長期のアスリートは、指導する側がどんなに一生懸命、情報や知識を与えても、こちらに心が向いていないときは、全く耳に入れてもらえず、スルーされてしまうことを実感しています。選手の心の動きを察知して、話すタイミングをつかむのも指導する立場の仕事だと思っています(とても難しいことですが)。

今回は、今がおいしい秋サケを使った「秋サケのソテークリームソース」を紹介します。疲れている選手でも食べやすく、ビタミンDがたっぷり。魚が苦手な選手でも食べられるでしょう。

静岡では、魚が苦手な選手がとても少ないのが特徴。土地柄、幼い頃から魚を食べ慣れているからかもしれません。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵