新型コロナウイルス対策で、マスクを二重に着ける動きが国内外で広がりをみせている。

米国のバイデン大統領、日本の河野太郎行革相、小池百合子東京都知事らが着けているのをはじめ、街中でも目立つようになってきた。「二重マスク」の効果は、一体どうなのだろうか?

マスクを2重にした橋本聖子会長(左)と小池百合子都知事

米疾病対策センター(CDC)はこのほど、マスクをよりフィットさせることで感染リスクが大幅に低下するとの研究結果を発表。隙間をなくし効果を高める方法として、不織布マスクの上に布製を重ねることなどを紹介した。

実験の1つでは放出側と受け手を設定し、ともに不織布1枚を普通に着けた場合、受け手が浴びる粒子は84・3%減。ともに不織布の上に布製を重ねて二重にした場合は96・4%減ったという。不織布1枚でも耳ひもをマスクの両端部分で結ぶなどし隙間をなくせば効果を高められるとした。

日本の専門家は、どう見ているのだろう。聖路加国際大大学院の大西一成准教授(環境医学・公衆衛生学)は「ただ二重マスクをすれば、大きな効果が得られるわけではない」と、注意を促す。225人に協力を得た実験では、ただマスクをしただけでは隙間が多く、126人が「漏れ率」100%だったという。

マスクを手で顔に密着させると、漏れ率は20%ほど低減されるが、布製を上から重ねた程度では「手で抑えた場合の半分以下の効果にとどまるだろう」と推測。「布製のサイズが大きければ、押さえ込む力も弱い」と指摘した。

スーパーコンピューター富岳などによるウイルス飛沫(ひまつ)感染研究の代表者でもある理化学研究所チームリーダー/神戸大教授の坪倉誠氏は、例えば不織布の二枚重ねについて「空気の通りが悪くなり、横など隙間から漏れやすくなる」などと指摘。顔に密着させることが大切と強調しつつ「二重マスクは息苦しさもある。マスクだけでなく、換気など総合的に、負荷なく持続可能な対策を考えるべき。外を歩く時や、だれも話さない空間では布製やウレタンを、密になる会議の時は不織布の上に布製を着けるなど、TPOに合わせて使い分けてもいいのでは」と提案している。

まずは顔にしっかりフィットするよう気をつけることが大切のようだ。【沢田直人、久保勇人】

○…実際に二重マスクをしている街の人からはさまざまな声が上がった。外側に不織布、内側に布製を着けていた女性(60代)は「不織布は肌に触れるとかゆくなって荒れる。布だけだと防げている気がしなくて、外側に不織布を着けました」。ウレタンマスクを内側に着けた30代の男性会社員も「不織布はけば立った繊維が口に入ってくるのか、喉が痛くなる」。その上で「不織布は一応見える位置に着けています。マスク警察も怖い」と打ち明けた。

50代の男性会社員は内側にスポーツブランドの布製を着け「二重にすると効果があると聞いた。電車に乗る時は不織布を着けて二重にしたり、運動をする時は布だけにしたりと使い分けています」と、語った。

(2021年2月22日、ニッカンスポーツ・コム掲載)