<栄養素を無駄なく摂る食べ方:種実編>

アーモンドは、アジア西南部原産と言われるバラ科の種実で、紀元前4000年頃から食べられていたという世界で最もポピュラーなナッツです。

100種以上あると言われますが、食用の「スイートアーモンド」と、オイルなどの原料となる「ビターアーモンド」に大きく分けられます。日本へ入って来たのは江戸時代で、和名を「扁桃(へんとう)」と言います。本格的に輸入され始めたのは1950年代で、お菓子や料理に幅広く利用されるようになりました。

殻を除いたものは塩や油脂などの添加がない、素焼きのものを選ぶと料理にも使いやすいです。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
アーモンドはタンパク質、脂質、ビタミンE、ビタミンB群、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維などが多く含まれています。

50%以上が脂質で、脂肪酸の約70%がオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸です。摂りすぎると肥満になりますが、生活習慣病のリスクを高めることはほとんどありません。

ビタミンEを特に多く含み、アーモンド25gで1日の目安量を上回ります。ビタミンEには強い抗酸化作用があり「若返りのビタミン」と言われ、生体膜の機能を正常に保ち、赤血球の破壊防止、血管や細胞の健康維持を助けるなどの働きもあります。赤血球はジャンプなどの動作で壊れることもあり、ビタミンEは運動選手がしっかり摂りたい栄養素の1つ。脂質と一緒に摂取すると吸収率が上がるため、ビタミンEと脂質の両方を含むアーモンドは、ビタミンEを効率よく摂れる食品といえます。

アメリカのアーモンド摂取によるコレステロールの研究にならい日本でも実験したところ、正常範囲内であってもHDLコレステロールが低めの場合は濃度を引き上げ、LDLコレステロールが高めの場合は引き下げる効果が確認されました。コレステロール濃度を理想的なレベルに制御しようとする緩衝作用があるということが示唆されたわけです。

また、韓国で行われた健康な成人に対するアーモンド摂取の実験では、毎日56gを16週間摂取した結果、食前に摂取した群では体重の変化がなく体脂肪とLDLコレステロールが減少、食間に摂取した群ではLDLコレステロールが食前摂取群よりも減少しました。食間に摂取すると、血糖と脂質代謝が改善する可能性もあるとのことです。

とはいえ、エネルギーは炒ったもので100gあたり608kcalあります。1粒1gほどで、1日の摂取目安は20粒程度と言われています。食べ過ぎには注意しましょう。

アーモンドには去痰作用もあります。風邪などでのどがゼーゼーして固形物が飲み込みにくい時には、アーモンドミルクを使ったブランマンジェがおすすめです。

期待される健康効果は、コレステロール値を正常に保つ、風邪予防、ガン予防、貧血予防、血行促進、疲労回復、生活習慣病予防、アンチエイジング、便秘予防、骨粗鬆症予防などです。

保存するなら
未開封のものは冷暗所で保存します。開封したものは空気に触れないように密封し、冷蔵または冷凍します。開封後は早めに使うことをおすすめします。

【管理栄養士・高木小雪】