<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

パセリは、地中海原産といわれるセリ科の香味野菜です。日本でパセリというと葉が縮れたモスカールドパセリ(カーリーパセリ)を指し、縮れのないタイプは イタリアンパセリと言います。食欲をそそる鮮やかな緑色で、かわいらしいモコモコしたパセリは、料理の付け合わせとして使われることが多いですね。

パセリの歴史は古く、古代ギリシャでは主に薬や香料として使われていました。日本へ入って来たのは江戸時代で、和名をオランダゼリと言います。本格的に栽培されるようになったのは明治以降です。

葉が密集して縮れが細かく、鮮やかな緑色で光沢があり、みずみずしいものを選びましょう。鮮度が落ちると葉が黄色っぽくなります。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
パセリには、βカロテン、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、食物繊維などが豊富に含まれています。

強い抗酸化力があるファイトケミカル(フィトケミカル)も多く、香気成分にアピオール、ピネンなどが、色素成分にクロロフィルやフラボノイドなどが含まれます。発汗、利尿、保温、食欲増進、疲労回復、殺菌、口臭予防などに効果があります。

栄養素全体の含有量は野菜の中でトップクラスのため、付け合わせにとどまらず、さまざまな料理に活用したいところです。そのままで食べにくい場合は、刻んだり加熱したりすると良いでしょう。刻んだものはスープの浮き実、ピラフに散らす、バターに混ぜてハーブバターにする、ソースや揚げ衣に加えるといった方法があります。イタリアンパセリと同様、モスカールドパセリのビタミンCも加熱に強いことがわかっています。

水溶性の栄養素は流出してしまいますが、ゆでると食べやすくなり、おひたしやあえ物に利用できます。肉などと炒めるのも、脂溶性の栄養素の吸収率が高まり、苦味もカバーされるのでおすすめです。

期待される健康効果は、風邪予防、ガン予防、消化促進、食中毒予防、貧血予防、冷え性改善、疲労回復、美肌効果、骨粗鬆症予防、生活習慣病予防、解毒、口臭予防、腎機能調整、アンチエイジング、精神安定などです。

保存するなら
香気成分は揮発性で、日が経つにつれ減っていきます。早めに使いましょう。

保存する場合は乾燥しないようにポリ袋などに入れ、野菜室で保存します。水で湿らせたキッチンペーパーを根元に当てておくと鮮度が保てます。グラスなどに生けておくこともできます。

香気成分は減ってしまいますが、冷凍保存も可能です。洗って水けをきり、丸ごと保存袋に入れて冷凍します。凍ったものを手で揉むと、簡単に細かくできます。1カ月ほどで使いましょう。

ハーブバターは棒状にしてラップで包み、冷凍すると風味が長持ちします。小分けにしておくと便利です。

ドライにする場合は、みじん切りにしてから電子レンジで乾燥させます。焦げないように様子を見ながら、数十秒ずつ加熱してください。密閉できる瓶や缶に乾燥材を一緒に入れて保存します。

【管理栄養士・高木小雪】