<栄養素を無駄なく摂る食べ方:野菜編>

ミョウガは東南アジア原産と言われるショウガ科の多年草で、日本で広く自生しています。開花前の花穂をミョウガ(花ミョウガ)、幼茎が伸びた若芽をミョウガタケとして利用します。奈良時代にはしょうゆ漬けにされていたという記録があります。3世紀頃の中国では食べていましたが、現在日本以外ではほとんど食用にされないそうです。

ミョウガ(花ミョウガ)
ミョウガ(花ミョウガ)

「ミョウガを食べると物忘れがひどくなる」という言い伝えがありますが、これは、物忘れがひどいお釈迦様の弟子のお墓の周りにミョウガが生えたことから言われるようになったそうで、科学的根拠はありません。

花ミョウガは色つやが良く、ふっくらと丸く身が締まっているものが良品です。花が咲いたものや花が落ちてフカフカしたものは食味が劣ります。

ミョウガタケはハリとツヤがあり茎が白く、ほんのり色付いたものが良品です。太すぎるものは繊維がかたい場合があります。

ミョウガタケ
ミョウガタケ

どちらも日光に当たると緑色になります。露地栽培のものは緑色になりやすいです。赤紫色の方が手間がかかり、良品とされています。

主な栄養素と無駄なく摂るコツ
ミョウガはビタミンK、マグネシウム、マンガンなどを多く含んでいますが、一度に摂取する量はあまり多くありません。注目されるのはファイトケミカル(フィトケミカル)です。ファイトケミカルは植物が持つ自分自身を守る力で、色素成分、香気成分、辛味成分などがあります。これらのヒトにとって有用なものを機能性成分と呼びます。

ミョウガの赤紫色はアントシアニンの一種で、酸性で美しい赤色に発色します。アントシアニンは強い抗酸化作用があります。

特有の辛味を感じる香気成分には、食欲増進、消化促進、血行促進、鎮痒、解熱、解毒、発汗、鎮静などの効果があります。この香気成分は「食べる風邪薬」と言われる春菊にも入っているものです。夏風邪の時にはミョウガを食べると良いでしょう。

薬味やあえ物、みそ汁の吸い口などに使うほか、天ぷらや、バターでさっと炒めてオムレツの具にするなど加熱してもおいしくいただけます。ミョウガの香気成分は揮発性が高いので、食べる直前に刻み、加熱は短時間にしましょう。

アクを抜くために水にさらすことがありますが、アクも機能性成分の一つです。色素成分、香気成分は水溶性でもあります。長時間水にさらさないようにしましょう。

襄荷(じょうか)と言う生薬としても使われます。消化促進、凍傷、しもやけ、腎臓病、生理不順、便秘改善などに用いられます。

期待される健康効果は、食欲増進、消化促進、食中毒予防、風邪予防、ガン予防、血行促進、生活習慣病予防、抗アレルギー、リラックス効果などです。

保存するなら
乾燥しないようにラップでぴっちり包み、野菜室で保存します。ミョウガの香気成分は揮発性が高いので、早めに食べましょう。

香気成分は少なくなり、シャキシャキの食感はなくなりますが、刻んで冷凍保存もできます。

甘酢漬けにすると1カ月ほど保存ができ、きれいな色も楽しめます。漬け汁を利用した酢飯は、ミョウガの風味がしてちらし寿司にぴったりです。

【管理栄養士・高木小雪】