地震、大雪や台風などの災害に備えて、食料備蓄をしていますか? 自然災害だけでなく、感染症やテロ、突然の体調不良など、食料の備蓄はあらゆる場面で必要になります。

家族の命を守るためには、どのようなものを備えておいたらいいのか。改めて確認しておきましょう。

防災士としても活動する管理栄養士の今泉マユ子さんに、家庭での食料備蓄について話を聞きました。4回連載します。第1回は、防災食の基本的な考え方です。

管理栄養士で、防災士、災害食専門員として各地で講演も行っている今泉マユ子さん
管理栄養士で、防災士、災害食専門員として各地で講演も行っている今泉マユ子さん

特別なものが防災食ではない

皆さんは家庭にどのような食料を備蓄していますか。長期保存できる「防災食」でしょうか。

最近では「防災食」も種類が豊富になり、備蓄には適しているように感じます。しかし、実際に食べたことがあるかどうかというと、食べたことがない人も少なくないようです。

災害時には、電気やガス、水道などのライフラインが止まるなど、いつもと違った状況に置かれます。高ストレス状態になりやすく、食欲が落ちてしまうこともあるでしょう。そのような時、食べ慣れない「防災食」をおいしく感じられるでしょうか。

今泉さんのおすすめは、家族の好きなもの、食べ慣れたものを備える「ローリングストック」。日頃から多めの買い置きを心がけておけば、食べ慣れた食品が防災食になります。災害時でも食べ慣れた味があれば、ホッと気持ちを落ち着かせることができ、生きる意欲につながるかもしれません。

ローリングストックのイメージ
ローリングストックのイメージ

ストレスを感じない準備を

とはいえ、今泉さんはかつてローリングストックに追われ、疲れてしまった経験があるそうです。いざというときのための備蓄なのに、用意する側がストレスを感じてしまっては元も子もありません。以降は、長期保存できる防災食も備蓄するようにし、無理なく取り組めるようにしたといいます。

「乾パンなど防災食の定番も、調味料をちょい足しすることで、飽きずにおいしく食べることができるんですよ」と今泉さん。用意する人も、食べる人も、ストレスにならない方法をぜひ見つけてください。

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