ケガをした場合に必要な栄養については、以前のコラム「切り傷・擦り傷を早く治す、皮膚の形成に必要な栄養素」で紹介しました。今回は骨折した場合、特に手術をした場合の栄養について説明します。

カルシウムとビタミンD

骨折をした場合も、切り傷、擦り傷と同様に皮膚の形成に必要な栄養素が必要。さらに、骨の形成のために、カルシウムやビタミンDの必要量が増加します。

カルシウムは、乳製品を積極的に摂ることで比較的簡単に摂取量を増やせますが、ビタミンDは意識しないと摂りにくい栄養素です。魚類(魚卵も含む)、卵(特に卵黄)、干しシイタケなど、ビタミンDを多く含む食品を積極的に食べるようにしましょう。

回復のためにはタンパク質

手術の術後数日はエネルギーの必要量が増します。傷の大きさにもよりますが、通常の約1.2倍のエネルギー量が必要とも言われています。

また、回復のためにはタンパク質が必要なので、肉や魚を多く摂ることも大切です。しかし、ここで問題なのは、運動量が減っているため、食欲が低下し、思ったように食べられないこと。特に痛みがあると食欲が低下するので、少量ずつ回数を増やして食べることをおすすめします。

回復するとともに、それに必要なエネルギーは減っていきますが、リハビリが始まると、今度はその分のエネルギーが必要になります。筋肉量を低下させないためにはリハビリが重要。筋肉量をチェックするためにも、体重と体脂肪率の測定を継続して行うといいでしょう。

何よりも手術を伴うようなケガ、骨折をしないことが一番ですが、どんなに気を付けていてもスポーツをする以上、リスクは伴います。予防するには、栄養やエネルギーが不足した状態で運動を行わない、つまり、空腹時には運動を行わないことです。補食などで栄養を補給し、リスク回避に努めましょう。

【管理栄養士・今井久美】