食べても、食べても体重が増えず、身長も伸びないと悩むジュニアアスリートがいます。運動によるエネルギー消費が多い上に、成長に必要なエネルギーが十分に摂取できていないことが考えられますが、もしかしたら、消化管での吸収率が低いのかもしれません。便の回数が多いようであれば、消化不良を疑った方がいいでしょう。

食べ方、食べるものに注意

早食い

よくかんでいない可能性があります。食べ物の消化・吸収の入り口は咀嚼することです。唾液の中にも消化酵素が含まれており、かむという動作で胃液や膵臓(すいぞう)からの消化酵素の分泌も促進されます。

咀嚼して食べ物を小さくすると、その後の消化酵素との反応性も高まります。ただ、歯の矯正をしている場合は、しっかりかめないので、最初から食べ物を小さく切ったり、柔らかいものにすることも必要です。スマホやテレビを見ながら食事をすると、無意識に飲み込んでいる場合もあるので、食事中は食べ物をしっかり見ながら、よくかんで食べることを意識しましょう。

また、急いで食べると、気持ちが焦って興奮状態になっていることもあります。消化機能は、副交感神経が優位な状態の時、つまり、リラックスした状態の時に活発化します。食事時間が十分摂れない場合でも、食後は気持ちを落ち着かせ、リラックスするように心がけましょう。

夕食に油ものが多い

エネルギーを上げるために、油を使った料理を意図的に増やしている場合もあるかもしれませんが、油脂は嗜好性が高く、脂っこい食べ物は依存性があります。

消化機能は1日の中で、夕方から午後8時頃までが最も活動的です。脂っこい食事は、胃の中の滞在時間も長く、消化吸収に時間がかかります。食事時間と消化吸収時間に時間差があるので、帰宅が遅く、夕食時間が遅い場合は、揚げ物や脂身の多い肉や魚を減らし、炭水化物やタンパク質の多い、消化の良い食事にしましょう。もちろん、油脂は必要ですので、昼食に揚げ物などを食べると良いでしょう。

これらは当たり前のことですが、意識しないとできないものです。今日から実践してみてください。それでも状況に変化がない場合は、医師の診察を受け、相談しましょう。

【管理栄養士・今井久美】