9月に発表された「平成29年国民健康・栄養調査」で、タンパク質の摂取量は男女とも60代が最も多く、若い世代ほど少ないこと、若い世代は脂質の摂取量が多いことが示されました。

エネルギーとタンパク質摂取量は60代が男女とも最も高い(平成29年国民健康・栄養調査結果から)
エネルギーとタンパク質摂取量は60代が男女とも最も高い(平成29年国民健康・栄養調査結果から)

今の若い世代の小食ぶりを示すデータでもありますが、タンパク質を多く含む肉や魚、乳製品は脂質も多いため、これらの摂取量が多いと脂質も多くなってしまいます。60代と20代を比較すると、60代は肉が少なく、魚や大豆製品の摂取量が多いため、脂質過剰にならずにタンパク質をしっかり摂れていることが分かりました。

大豆はタンパク質が多く、アミノ酸スコア100と植物性食品の中では良質なタンパク質です。鉄、マグネシウム、カルシウムなどアスリートに必要なミネラルも豊富です。アスリートだけでなく、成長期や若い人たちにも積極的に食べて欲しい大豆。このほかの成分を紹介しましょう。

イソフラボン
 ポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。

大豆サポニン
 ナチュラルキラ―細胞を活性化させ、免疫力をアップさせます。交感神経・副交感神経に作用して、自律神経バランスを調整する働きがあり、思春期に多い自律神経の乱れによる起立性調節障害の改善も期待できます。

大豆レシチン
 レシチンから生成されるアセチルコリン(神経伝達物質)が脳の機能を高め、記憶力を向上させるといわれています。

食物繊維
 中でも水溶性食物繊維が多く、乳酸菌のえさになって腸内菌叢(ごう)を整えてくれます。

大豆製品は、豆腐、納豆、油揚げ、厚揚げ、ゆば、枝豆、きな粉、高野豆腐、ゆば、おから、豆乳、みそなど幅広く、菓子やパンを作る時に小麦粉の代わりになる大豆粉や、大豆のタンパク質の一種であるグルテンを乾燥させた大豆ミートなども市販されています。 

豆腐や納豆が好きな人は、そのまま料理に取り入れればいいですが、あまり好きでない人は、ホワイトソースを牛乳の代わりに豆乳で作ったり、肉に大豆ミートやすりおろした高野豆腐を混ぜたりするなどの工夫で、摂取量を増やすことができます。

運動時に筋肉のエネルギー源としてコンディションを整えてくれる必須アミノ酸、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)も豊富です。栄養補助食品をとる前に、大豆製品を毎日の食事に取り入れてみてください。

【管理栄養士・今井久美】