<キッチンは実験室(35):もち米と桜もちの科学>

皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。前回は「炊飯の科学」を紹介しましたが、米にはうるち米のほか、もち米もあります。桜餅の材料にもなるもち米は「炊く」ではなく「蒸す」。なぜでしょう? もう少しお米の秘密を探ってみましょう。

もち米を「炊く」でなく「蒸す」のは?

おこわやお餅の材料に欠かせないもち米は、普段私たちが食べるうるち米とは吸水率が違います。もち米のでんぷんは、粘り気のあるアミロペクチン100%で構成されているため、膨潤しやすく、粘りが強い特徴があります(うるち米はアミロペクチン80%、歯応えのあるアミロースが20%)。

ご飯として炊くおこわめしの水分量は47~56%。もち米は米を研いで水に浸す浸水中に、重量の1.6~1.9倍、つまりうるち米の倍の水量を吸ってしまうのです。そうすると、炊飯開始時には米が水面から出てしまうため、均一な糊化が難しく、柔らかくなりすぎてしまいます。そのため必要な熱と水分を加える「蒸す」方法が用いられているのです。

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