<マヨネーズの科学>

 皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)の「みせす」こと金子浩子です。夏休みもいよいよ終盤。自由研究の宿題は終わりましたか? もし、まだの方がいれば朗報です。今回は短時間でできる“おいしいネタ”を紹介します。「マヨネーズの科学」。そう、マヨネーズは家庭で作れるのです。

材料は液体なのに…

 マヨネーズは、卵、酢、油を主な材料とするドレッシングソースのひとつです。マヨネーズ自体は半固体状なのに、どうして材料は液体なの? そもそも酢と油は混ざらないはず…と思った方もいるでしょう。そう、ここで科学が生じているのです。

 酢と油、つまり、水と油は混ざりません。それらを取りもっているのは「卵」。卵黄に含まれているレシチンやリポタンパクといった成分は、水、油とそれぞれ仲の良い性質を持っています(親油基、親水基)。酢と油の境界面にこれらの成分が並び、界面張力を弱めて水と油を結び付けてくれるというわけです。

 この働きを「乳化」と呼び、乳化する卵の存在を「乳化剤」と呼んでいます。乳化することで、溶けてはいないけれど、均一に混ざり合ったような(分散)、滑らかな状態(エマルジョン)になるのです。

 マヨネーズは、水分(酢)の中に油の粒が分散している状態。油の粒は1つ1つ、乳化剤である卵に包まれているので、粒が細かくなればなるほど硬くなります。しっかり混ぜて粒子を細かくすると、硬いマヨネーズができますが、逆に、酢を多めに入れると硬さがゆるくなります。

 このように、乳化によって混ざり合ったような状態のものはほかにもあります。

水中油滴型=水の中に油が溶けているような状態(牛乳、生クリーム、マヨネーズなど)。

油中水滴型=油の中に水が溶けているような状態(バター、マーガリンなど)

 乳化剤は品質を安定させる働きがあるため、お弁当や惣菜、缶コーヒーなどに食品添加物としても応用され、私たちの生活を支えています。

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