春先は花粉症の方にとってつらい季節です。目のかゆみ、くしゃみ、鼻水や頭痛などに悩まされているアスリートも多くいます。

よく、花粉症を治す食べ物や効果のある栄養素について尋ねられますが、研究は行われているものの、残念ながら明らかに「これを食べればすぐ治る」というものは解明できておりません。ただ腸内環境を整え、免疫システムを正常にする働きをもつ食品が、免疫を整えるのと同様に、花粉症対策にも有効だといわれています。

腸内環境を整える食品

腸内環境を整えるものとして、有効なものを挙げていきます。

乳酸菌

乳酸菌は生育に必要なエネルギーを得るために、ブドウ糖や乳糖などの糖を分解して乳酸を作り出す細菌のことです。「善玉菌」とも呼ばれ、腸内細菌のバランスを整えて便通を良くします。

最近では免疫機能にも深く関わっていることが分かってきました。腸には免疫の働きを担う細胞や体に害を及ぼす病原細菌などと戦う抗体などが60%以上も集まっており、「腸管免疫」と言われます。つまり、腸内環境を整えることで腸管免疫が正常になると考えられています。

腸内環境が良くなることで、アレルゲンが腸から体内に入りにくくなる可能性があるとも考えられます。また、乳酸菌には免疫の過剰反応を抑える働きがあるため、花粉症の症状緩和に役立つとも言われています。

乳酸菌を多く含む食品としては乳酸菌飲料、ヨーグルト、のむヨーグルト、チーズ、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品が挙げられます。

食物繊維

「食物繊維はおなかのお掃除をする」と聞いたことがあるでしょう。その食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。

水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整え、腸管免疫を正常にさせると考えられます。水溶性食物繊維を多く含む食品は、ワカメやヒジキなどの海藻類、シイタケ、マイタケ、シメジなどのキノコ類やイモ類などで、便を柔らかくし、便のすべりも良くします。

一方の不溶性食物繊維は便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促してくれます。不溶性食物繊維を多く含む食品は、ゴボウや大豆などです。

オリゴ糖

オリゴ糖は難消化性糖類のことで、人の消化酵素によって分解されずに大腸まで届くため、ビフィズス菌や乳酸菌のエサになります。多く含む食品はきな粉、ゴボウ、バナナなどがあります。

つらい花粉症を少しでも緩和し、少しでも快適に乗り切るために、食事の中に乳酸菌、食物繊維、オリゴ糖を多く含む野菜、海藻類、発酵食品などの食品を加え、腸内環境を整えることに努めましょう。

今回は、食物繊維と発酵食品がとれる「キノコナムルのキムチ丼」を紹介します。シメジやシイタケなどのキノコをレンジで温めて味を調え、ご飯に市販のキムチとともにのせれば完成します。腸内環境を整える食品を毎日摂り、花粉症対策をしていきましょう。

管理栄養士・舘川美貴子