エネルギー補給のため摂取した糖質は、グリコーゲン(ブドウ糖が結合した多糖類)として肝臓や筋肉に貯蔵されます。しかし、グリコーゲンが貯蔵できる量は限界があり、それを超えてしまうと脂肪となり、肝臓や脂肪組織に蓄えられます。いったん脂肪に変わってしまうと、元の糖質に戻すことはできません。

糖質はトレーニングの主なエネルギー源だけでなく、生きていく上で必要な栄養素です。貯蔵できるグリコーゲンが不足しないように、その時々の必要量に合わせて糖質を摂取することが大切です。

肝臓のグリコーゲンは脳などで利用

肝臓に貯蔵できるグリコーゲンのエネルギー量は300~350kcal(75~88g)ほどです。グリコーゲンの基本単位であるグルコース (ブドウ糖) から血液中に血中グルコース (血糖) として溶け込み、脳や筋肉で利用されます。食事によって上がった血糖は通常、食後3時間程度で減少しますが、運動するとより速やかに減少します。

筋グリコーゲンは高強度の運動で使用

一方、筋肉に貯蔵できるグリコーゲンのエネルギー量は1500~2000kcal(375~500g)ほどで、高強度の運動時に使用されます。筋グリコーゲンは肝臓のグリコーゲンと異なり、すべて筋肉の運動のために使われ、血糖の維持には使われません。ただし、最大まで高めるには数日間かかります。

筋肉中のグリコーゲン貯蔵量を高めるためには、強度の高い運動を控えて筋グリコーゲンの利用を制限することと、カーボローディングのような高糖質食を摂ることの両方が必要です。試合に向けて3日ほど前から運動強度を下げて、高糖質食にするのはそのためです。

高糖質食にする場合、主食だけでなく、主菜や副菜といったおかずからも糖質が補給できるメニューにすると良いでしょう。今回紹介する「トッポギ入りチャプチェ」も、糖質がとれる主菜です。トッポギはうるち米で作られた棒状の餅を甘辛く煮込んだ韓国料理。糖質もとれ、食が進む味付けです。

参考文献:スポーツ栄養学ハンドブック ダン・べードット著 寺田新訳 東京大学出版会 2021

管理栄養士・田澤梓