タンパク質を構成する最小単位のアミノ酸を摂取するなら、どのタイミングが効果的なのでしょうか。運動前、運動中については次のような報告があります。

運動前や運動中にアミノ酸をとると、筋肉や内臓のタンパク質分解が減少する。
アミノ酸は運動前に摂取した方が、運動後に摂取するより正味のタンパク質合成を高める。

ただし、運動前や運動中に摂取することで、筋肉量の増加を促進するかについては、明確な報告は得られていません。むしろ、これらのタイミングで摂取すると、その量や運動の種類によっては、運動することに悪影響を及ぼす可能性があります。

運動前はエネルギー不足を防ぐ

そもそも筋肉量が増加するには、筋肉タンパク質の合成が分解を上回っている時間、つまり基本的に運動をしていない時間が必要です。これらのことから、運動前や運動中のアミノ酸摂取が筋肉量の増加に有効であるとは考えられないのです。

運動前には、消化吸収の早い飲食物を摂取するのがおすすめです。エネルギー不足や空腹の状態で運動を行うと、運動のためのエネルギーが補えなくなるため、運動30分前くらいまでには摂取しておきたいところです。

運動後は筋肉への血流が増大

運動後は早めにタンパク質を摂取すると、筋肉タンパク質合成をより高めます。運動後は筋肉への血流が増大しているため、ここでタンパク質を摂ると、アミノ酸濃度の上昇した血液が筋肉により多く流れることになります。筋肉タンパク質を合成する材料であるアミノ酸の供給量が増えることが、筋肉タンパク質の合成を高めることに関係していると考えられているのです。

また、タンパク質は糖質とともに摂取すると、体タンパク質に合成されやすいと考えられています。糖質が吸収され、血中ブドウ糖濃度が上昇することでインスリンが分泌され、摂取したタンパク質の合成を促進するためです。

今回は、運動後の補食に適した「冷凍バナナドリンク」を紹介します。凍らせたバナナを牛乳と混ぜてミキサーにかけるだけ。冷たく飲みやすく、糖質(バナナ)とタンパク質(牛乳)を同時に補給できるスペシャルドリンクです。砂糖やはちみつを加えなくてもバナナの甘みでおいしく飲めますが、お好みで甘みを加えても良いでしょう。

管理栄養士・田澤梓