前回のコラムで、運動前や運動中に摂る糖質の内容によって、運動中に腹痛などの体調不良が起きる場合があるとお伝えしました。

運動中は内臓への血流量が減少

さらに、腹痛の理由にはこんなこともあります。長時間の運動が必要な時、いつも以上に体内の糖質を使うため、枯渇して疲労する可能性が高くなります。エネルギー源として体内に蓄えている糖質を使いますが、量が少ないと、運動途中で何度もエネルギー補給を行わなければなりません。運動中は、内臓への血流量が減少しているため、そこで糖質を摂ると腹痛や胃の不快感を起こすことがあるのです。

脂肪を使えば栄養補給の回数減る

これを避けるために、体内に多く存在する脂肪を利用しやすい体質になっていると、栄養補給の回数が減るため、腹痛や胃の不快感が起きないということもあります。例えば、1日の糖質摂取量を少なくし、脂肪の含有量の多い食事を数週間から数カ月摂取し続けることで、体内の脂肪を利用しやすい体質になるとは言われています。

まだ十分な検証や報告なくリスクも

実際、低糖質高脂質の食事をしているプロアスリートはいます。ただし、このような食事は取り組み初期に疲れやすくなったり、動脈硬化が進んだりすることもあります。プロアスリートの場合、管理やサポートする体制が整った上で行っているもので、一般の方が自己流で取り組むのはリスクがあります。また、スポーツ選手が長期的にこのような食事を摂った場合の安全性について、報告が少ないのも現状です。

このことから、練習が長時間の時だけ、試合の時だけ特別な食事や食べ方をするのではなく、「食事の基本」を身に付け、普段の食事から運動量に見合ったエネルギーや糖質量を体内に貯蔵できるよう、食事に取り組んでいくことが大切です。

今回は、水分補給と糖質の補給ができる「スイカジュース」を紹介します。そのまま食べても、もちろんおいしいスイカですが、ジュースにしてチョコチップやミントを飾ると気分が変わります。夏限定のドリンクを、ぜひお試し下さい。

管理栄養士・田澤梓