先日、アスレシピで「体を大きくしたい選手のための栄養講座」が開催され、2回にわたり講師を担当させていただきました。ラグビーをはじめ、体を大きくしたいジュニアアスリートの保護者の方がたくさん集まり、講義と食事作りの悩みを共有するグループワークに参加していただきました。

 セミナーでも現場でも、保護者から出てくるのが「選手にもっと食べてもらうためにどうすればいいか」という話題です。もちろん、調理や献立の工夫も大切で、今までのコラムでも体を大きくしたい選手のためのコラムを書かせていただいてきました。

 しかし、大切なのは「選手に食べてもらう」のではなく、選手自身が「食べる」ということです。ジュニアアスリートの食生活は保護者のサポートが不可欠ですが、年齢に応じて自分で食べる力を身につけることが大切です。

1人暮らしで体調崩す選手も

 高校生から寮生活を送る場合もあります。大学生で1人暮らしを始めて急に体重が減ったり、体脂肪が増えたり、体調を崩してパフォーマンスが落ちる選手が多くいます。そして、競技力の高い選手ほどそれまでの家庭での食事のサポートが厚く、いざ1人暮らしを始めると、食事作りが大変で難しく、欠食や外食が増えてしまうという傾向が見られます。

 大学生や社会人でも「おにぎりを握ったことがない」「丸ごとの桃の食べ方が分からない」「インスタントラーメンしか作れない」というような選手に出会うことも多々あります。おにぎりは握ってもらうか買うもの。果物はむかれてフォークが添えてあるのが当たり前の環境だったのだと感じます。

小学生から付けたい「食べる力」

 下記のような取り組みは、小学生のうちからでも身につけてほしい内容です。お手伝いを含めてジュニア期のうちから「自分で食べる力」を選手自身が身につけるサポートをぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

ご飯を自分で盛り付ける(スケールで量るとさらに良いですね)
おにぎりを自分で握る
ご飯を炊く、目玉焼きを作る、みそ汁を作る、など基本的な調理
果物をむく(オレンジ、りんごなど)
買い物(単品のおつかいではなく、家族の食材を1人で買いに行く)
献立作り(作るのは保護者でも、バランスの良い献立を考えてみる)
コンビニで昼食を買う(食べたいものではなく、必要な食べ物を買う)
弁当作り、家族の食事作りなど(単品ではなく食事全部を作る経験をする)

「練習後に食べたいおにぎり3種」。左から鶏つくねおにぎり、煮卵おにぎり、ツナおかかおにぎり
「練習後に食べたいおにぎり3種」。左から鶏つくねおにぎり、煮卵おにぎり、ツナおかかおにぎり

 今回のレシピは「練習後に食べたいおにぎり3種」です。試合の時のおにぎりと違い、試合や練習の後のリカバリー(回復)に必要な、炭水化物+タンパク質を同時にとれるものです。炭水化物をエネルギーに変えるために必要なビタミンB群を多く含む胚芽米を使用しました。

「練習後に食べたいおにぎり3種」の具。左からツナおかか、鶏つくね、煮卵
「練習後に食べたいおにぎり3種」の具。左からツナおかか、鶏つくね、煮卵

 アスレシピはもうすぐ2周年を迎えますが、次回のコラム終了後、しばらく連載をお休みします。コラムを通じて自分自身がスポーツ栄養士として考え、感じるきっかけをたくさんいただき、また多くの方との出会いをいただきました。ありがとうございました。

管理栄養士・金子香織