このコーナーのガイダンスとして、ジュニア選手に必要な栄養素について触れたことはご存じでしょうか。その際、「どんぶり茶わんでご飯を〇杯食べる」をノルマにするチームなどがあることを紹介しました(参照:「米だけ増やしても体脂肪になるだけかも、食事量の増やし方」) 。ジュニア選手はスポーツをするだけでなく、体も成長するために、多くの栄養素が必要となります。筋肉や骨、血液などをつくるのは「タンパク質」であり、特にスポーツしない子どもと大きく違うことは、食事量の写真で説明しました(参照:「ジュニアでもこんなに変わる食事量、スポーツするかしないか」)。

量を増やしやすい炭水化物

 私が栄養サポートしているプロアスリートの中にも、栄養の知識がそれほどない時は、運動量が多いので量を食べるようにアドバイスをすると、主食である米やパスタなどを増やすことがあります。外食でも「ご飯大盛り無料」のように、米や麺類はプラスしやすい環境にありますし、何より安価です。またジュニア選手自身も、小腹がすいたらよく食べるおにぎりやパンのように、主食をプラスすることは簡単にできます。アスリートは運動量が多い場合に、主食の量は言われなくても増やす傾向があるため、アドバイスする際は「タンパク質」を意識させるようにします。

 今回は主食の「米」について、説明します。米だけを多く食べることがなぜ良くないのか、どういう食べ方が理想なのかを説明したいと思います。

おにぎり10個で2食分エネルギー

 下の写真Aをご覧ください。ご飯茶わん10杯をおにぎりにしてみました。

写真A=ご飯茶わん10杯分のおにぎり

 おにぎり10個で約2500キロカロリーです。ちなみに、これだけでジュニア選手の朝食と夕食の2食分の必要なエネルギー量が取れます。この2500キロカロリーを、肉や魚などのおかずで取ると下の写真Bのようになります。

写真B=2500キロカロリー分の肉、魚、卵、乳製品、大豆食品でそろえたタンパク質食材

<肉>鶏胸肉(皮なし)…500グラム
<魚>サケ…300グラム
<卵>…5個
<乳製品>ヨーグルト…1パック
<チーズ>…5切れ
<大豆製品>豆腐2丁と納豆…3パック

 これはタンパク質を多く含む食材の肉、魚、卵、乳製品、大豆製品の5種類をすべてそろえた2500キロカロリーの量です。写真AとBも同じ2500キロカロリーですが、どちらがジュニア選手に必要な栄養素が多く含まれるのかは、一目瞭然ではないでしょうか。逆に、最初にどちらも2500キロカロリーというのを教えなければ、AとBが同じエネルギー量であることも分かりにくいでしょう。

ノルマや「タッパ飯」よりおかず

 では、エネルギー以外の栄養素について比較しましょう。

栄養比較表

 上の表をご覧ください。おにぎり10個では炭水化物が556.5グラムも取れるため、相当なエネルギー補給ができます。肉や魚のおかず食材では、タンパク質が308.6グラムも取れ、さらに取りにくいといわれるカルシウムは1886ミリグラム、鉄は17.1ミリグラムも取れます。

 もちろん、2500キロカロリーすべてをおかずで取るわけでも、米で取るわけでもありません。ただ、茶わん10杯で相当なエネルギーが、しかもほとんど炭水化物であることがお分かりになるでしょう。そして、肉や魚で取れば、ジュニア選手に必要な栄養素を多く補給できることも理解していただけたかと思います。

 今回は茶わん10杯での比較でしたが、これがどんぶり10杯だと…。指導者の方々もぜひ、合宿中のご飯のノルマや「タッパ飯」など、単純に米だけ増やすよりも、おかずとしてタンパク質を増やす方が、成長や「勝つ」ことにつながることを理解してください。

プロ選手も工夫、節約

 そして、特に料理をつくる保護者の方にとっては、今回のお話は耳が痛いかもしれません。それは米などの炭水化物よりも、肉や魚などのタンパク質を増やすとお金がかかるからです。これはプロアスリートも例外ではなく、でも強くなるためにそれぞれが工夫しています。たとえばあるプロアスリートの妻は、買い物を夕食後にしてスーパーの半額セールなどを利用しています。缶詰の魚も代用できます。

 Bで紹介したように、納豆や豆腐、ヨーグルトなどはタンパク質の中でも比較的安価で使いやすいでしょう。できない理由付けはなんとでもできます。本当に強い、強くなりたいアスリートは、できるように工夫し行動する力があります。食事でもぜひ「工夫する力」を、身に付けていただきたいものです。

(指導=管理栄養士・川端理香)

今回の食材・米

米はエネルギーとなる炭水化物を多く含みます。その量は、ご飯茶わん1杯分で約55グラム。また、体をつくるタンパク質は4グラム含まれます。ただし、肉や魚に含まれるタンパク質と違って効率が悪いため、効率良くするためには豆類などと食べることで効果が高まります。ご飯とみそ汁や、ご飯と納豆などの組み合わせは、米に含まれるわずかなタンパク質も無駄にしない、体をつくるためには理にかなった食べ方です。

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(2017年6月1日付日刊スポーツ紙面掲載)