<週末ベースボール:球児メシ(下)>

「球児メシ」とは、中学野球選手の成長期に必要な栄養素を取り、競技に必要な瞬発力や持久力、集中力アップを目指した食事のこと。最新科学に基づいた必須ポイントを、東京出身の新出(しんで)真理と、大阪出身の大埜礼華(おおの・ひろか)両管理栄養士が解説します。今回は「ケガ予防・疲労回復の食事の基本」です。

朝食を食べて体温と集中力をアップさせよう

新出 シーズンインも近づいてきたけれど、寒い時期のケガ予防や疲労回復のためには、朝食とタンパク質や鉄の補給が大切ね。

大埜 でも、朝が苦手な球児や保護者は少なくないよね。

新出 朝食を食べると体温が上がるし集中力もアップ。ウオーミングアップの一部と考えたいけれど…。

大埜 主食と主菜1品、副菜2品、牛乳・乳製品、果物の5種類そろえるとバランスがいいけれど、2種類合わせて1品にしてもOKだよね。

新出 朝やとても疲れている時は、皿数が少ない方がうれしい人もいるしね。

大埜 冬は冷たい牛乳が苦手な人も少なくないよ。

新出 よく紹介するのが、牛乳を使った野菜たっぷりスープ。これで副菜プラス牛乳・乳製品の2品分がとれる。

大埜 牛乳が苦手な人も、みそを入れると味も香りも飲みやすいという人が多いね。

新出 牛乳などに含まれるタンパク質は筋繊維の材料だし、炭水化物や脂質に比べて体温上昇効果も高いから、冬の朝食にはおすすめ。

大埜 オムレツでも卵から、タンパク質と鉄もとれるよ。

新出 鉄不足で貧血傾向になると、体が酸欠で疲れやすく疲れがとれにくいものね。

大埜 紹介したオムレツはアサリの水煮缶を使っているから、鉄がたっぷり!

新出 1日分に近いぐらいとれるのよ。というのも、中学2年男子では53.7%の人が鉄不足、という衝撃的なデータがあるから。

大埜 学校給食の基準もそのデータを受けて変わったね(※)。

新出 鉄というとレバーと思いがちだけれど、コレステロールが少なくて好き嫌いが少ないのが、アサリ。小さい水煮缶の半分で1日分近くの鉄がとれる。

大埜 アサリの水煮は同量のレバーの3倍も鉄を含むことは知られていないよね。

新出 牛肉に比べると10倍も鉄を含むわ。アサリほどではないけどシジミやカキ、卵も鉄の補給に利用したい。ひよこ豆は鉄と食物繊維が多く、葉物野菜が苦手な人も食べやすいわね。

大埜 今回の献立も冷凍や缶詰が多いような?

新出 続けるためには手軽なことが大切。小学校の調理実習で作る献立より簡単だから、試してもらえたらうれしいわ。(敬称略)

※学校給食の基準が変わったとは、正式には「学校給食実施基準」の一部改正のことです。次のサイトから確認できます。 http://www.gakkyu.or.jp/topics/detail/159

<ワンポイントアドバイス>
▼ケガ予防はバランスの良い朝食から。
▼貧血対策は1日にしてならず。貝類、卵、豆類で補給すべし。

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