<陸上:競歩日本選手権兼東京五輪代表選考会>◇16日◇神戸・六甲アイランド甲南大西側コース◇女子20キロほか

女子20キロ競歩で昨秋の世界選手権6位に入った岡田久美子(28=ビックカメラ)が1時間29分56秒で6連覇を果たし、東京オリンピック(五輪)の代表に内定した。

タイムには納得していないが、序盤からレースを引っ張り、1人旅。2位の河添香織(24=自衛隊)には3分19秒差を付ける圧勝だった。

岡田久美子(2018年8月撮影)

立大出身のウオーカーは、2度目の五輪で日本女子競歩界初のメダル獲得を目指す。

食事量は男子長距離選手と同じ位

喜びは控えめに、岡田はゴールテープを切った。自身の日本記録1時間27分41秒の更新で、東京五輪出場に花を添える決意だった。条件は冷たい雨に強風。記録は伸ばせず、最後5キロは歩型違反にならないようスピードは抑えた。大満足とはいかないが、他を寄せ付けない強さ。五輪は確実にし、「メダルを獲得できる力を付けたい」と語った。

世界選手権以上の結果を五輪で求め、今はスピード強化に励む。チューブを体に巻き、後ろから引っ張ってもらい、歩く練習も導入。昨年12月には1万メートル日本記録更新と成果は出た。肉体改造にも着手。「シェフからの挑戦状」と笑うほど男子長距離選手と同じぐらいの食事量。1日に多い時は、成人男性の標準の倍近い3700キロカロリーを摂取する。

小食概念に支配された高校時代

熊谷女子高時代は小食でなければならないという概念に支配されていた。食事制限で体重は今より約10キロ少ない38キロにもなった。「毎食後、体重計に乗って、落ち込む日々」。貧血体質で、骨も弱く故障の繰り返し。無月経にも悩み、選手寿命が短くなる以前に、女性として生きる未来にも悩んだ。転機は立大2年時。原田総監督から将来を考え、「食べた方がいい」と指摘された。最初は脂肪ばかり増え、記録は伸び悩んだ。「岡田はもう厳しい」との声も耳に入った。しかし、徐々に体がなじむ。長く女王に君臨し続ける、強い練習の下地となった。

日本男子競歩界は新戦力が次々と台頭する中、女子は自らがトップであり続ける。女子も発展を思うからこそ、「もっと頑張って欲しいですよね」とあえて厳しい言葉も並べる。テレビで特集されていたエクアドルの競歩学校の例も挙げ「日本の女子は環境がいいのに、まだまだ甘い。甘さを払拭(ふっしょく)してもらうためにも自分が結果を残し続けることが大事」。その言葉に第一人者の誇りがにじんだ。【上田悠太】

◆岡田久美子(おかだ・くみこ)1991年(平3)10月17日生まれ、埼玉県上尾市出身。熊谷女子高では09年の高校総体女子3000メートル競歩は高校記録で連覇を達成。立大社会学部では日本学生陸上競技対校選手権女子1万メートル競歩4連覇。世界選手権は15年北京大会25位、17年ロンドン大会18位、19年ドーハ大会6位。16年リオデジャネイロ五輪は16位。158センチ、47・5キロ。

◆東京五輪の代表選考 各種目とも代表枠は最大3。女子20キロ競歩は昨年1月以降に派遣設定記録1時間30分0秒を切った上で、日本選手権または全日本競歩能美大会(3月15日)を優勝すれば内定する。同2大会の選考会の中から、日本人3位以内の選手なども選ばれる可能性がある。男子は、ともに世界選手権で金メダルを獲得した山西が20キロ、鈴木が50キロの代表に内定。また全日本競歩高畠大会で日本記録を樹立した川野も50キロで内定している。

(2020年2月16日、ニッカンスポーツ・コム掲載)