<プレミア12:日本3-1メキシコ>◇スーパーラウンド◇13日◇東京ドーム

侍ジャパン今永昇太投手(26)が、緩急自在の“昇(ショウ)タイム”を演じ、日本を窮地から救った。

日本対メキシコ ヒーローインタビューを終えて歓声に応える今永(撮影・山崎安昭)

毎回三振を奪う好投で、6回1安打1失点。直球を軸に、変化球との緩急で今大会無敗だったメキシコ打線をソロ本塁打1本に封じた。米国に前夜喫した初黒星の悪い流れを圧巻の82球で断ち切り、頂点への望みをつないだ。

日本対メキシコ 1回を投げ終え拳を握る今永(撮影・滝沢徹郎)

空転するメキシカンたちから、奪三振ショーを繰り広げた。今永は先頭打者をチェンジアップで空振り三振に仕留める上々の立ち上がり。3者凡退に抑えた1回の後、女房役の会沢から言われた。「序盤は変化球が多くなる。しっかり頼むぞ」。チェンジアップにカーブ。直球に織り交ぜた変化球がさえ渡り、3回までパーフェクト。4回先頭にアーチを許しても崩れない。6回1安打1失点8奪三振。圧巻の“昇タイム”だった。

今永 相手の打ちたいカウントの中で、チェンジアップや緩い球を使えた。だから相手が(直球を)待っていない中で直球をいけた。こういう投球ができれば、自分のパターンとして持っていける。

9番から始まる6回は、3者連続空振り三振。前夜、米国に初黒星を喫し、この日負ければさらに世界一が遠のく。「重圧。そんなのはあまり気にしない」。ベンチ前でのキャッチボールが禁じられ、マウンドに上がるまでの間に素早く投げ込み肩を慣らした。「キャッチボールができない国際大会ならではの僕なりの調整方法」。ハードな状況下でも冷静だった。

日本対メキシコ 日本先発で力投する今永(撮影・滝沢徹郎)

ソフトでも、ハードでも、指先のコンタクトはずれなかった。今大会の公式球に「滑りを感じる。だから握りはソフトに。柔らかく握るようにしているんです」。滑りを気にするがあまり、力が入りすぎることがないように工夫。「指先に力を入れすぎると、指がロックして、肘も肩もロックする」とソフトタッチを意識した。1次ラウンドが行われた台湾での1週間は「あまり僕は合わなかった。積極的に(食事を)とれなかった」と現地の食に苦戦。帰国後は「大量摂取しました。ホテルのご飯とか外食でも、今の自分に必要なものをとれた」と胃袋からチャージしたエネルギーを放出した。

決勝進出すれば中3日で登板する可能性もあるが、「自分自身はいつどこと言われてもいいように調整していく」と中継ぎ待機も辞さない覚悟。エース左腕が頼もしく言い切った。【栗田成芳】

(2019年11月14日、ニッカンスポーツ・コム掲載)